韓国が森保ジャパンの
命運を握っている!?

 一方で韓国のFIFAランキングは、アジアで日本、24位のイランに次ぐ27位につけている。反町技術委員長も2月に「考えるに値するとは思っています」と韓国の実力に言及したが、ペルーとエルサルバドルに先駆けて6月シリーズの候補として報じられた際には、ネット上で反対意見が殺到した。

 理由の大半が「日本側に戦うメリットがない」であり、韓国が日本をライバル視しても、その逆はあり得ないと断言するものだった。今回の対戦は報道レベルに終わったが、10月にも日本国内で2試合が予定されているマッチメイクで、韓国とタッグを組む必要性はますます高まってくる。

 韓国との国際親善試合は21年3月、日本が3-0で快勝した日産スタジアムでの一戦が現時点で最後になっている。今回の6月シリーズはともにホームでの国際親善試合開催がすでに決まっていて、来年1月のアジアカップで対戦する可能性もある状況などから見送られたとされる。

 ホームでの国際親善試合開催が多い日本代表の状況に対しても批判は絶えない。JFAがドイツのデュッセルドルフにオフィスを構えて、20年10月と11月、そして昨年9月とヨーロッパの地ですでに6戦にわたって、日本のホーム扱いとなる国際親善試合を主催している実績があるからだ。

 しかし、舞台がヨーロッパだからといって、ヨーロッパ勢と対戦できたわけではない。過去の対戦相手はカメルーン、コートジボワール、パナマ、メキシコ、アメリカ、エクアドルであり、現状ではヨーロッパ勢に加えて北中米カリブ海、アフリカ勢との対戦も難しいのはすでに記した通りだ。

 さらにはコロナ禍で大幅な減収を強いられ、自社ビルを売却する決断も下したJFAにとって、国内で開催される日本代表の国際親善試合がドル箱となる点も忘れてはいけない。チケットやグッズ販売、テレビ放映権などの各収入は、年代別代表を強化する原資となって循環していく。

 6月シリーズを前にして、長いシーズンを戦い終えたヨーロッパ組は続々と帰国してくる。彼らが大半を占める森保ジャパンを再びヨーロッパで試合をさせるのも無理があり、代わりに新シーズンが始まった直後の9月シリーズは、負担を軽減させる意味からヨーロッパで予定されている。

 依然としてヨーロッパ勢との対戦が難しい中で例外もある。ヨーロッパ選手権の開催国で予選を免除されているドイツと、9月の国際Aマッチデー期間に1試合しか予選を戦わないフランスだ。イングランドも1試合だけだったが、すでにスコットランドとの国際親善試合を組んでいる。

 11月からは次回ワールドカップ出場をかけたアジア予選が始まる。ヨーロッパの強豪と対戦できる可能性がある千載一遇のチャンスへ、水面下ではすでにマッチメイク合戦が始まっている。

【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。
・最後から11段落目:ワールドカップに出場した実績もない。→2度出場したワールドカップでは0勝6敗と一つも勝てていない。
(2023年4月21日10:19 ダイヤモンド編集部)