計算は論理的思考力を身につける第一歩

──おみやげ算は、ビジネスパーソンの役にも立つのでしょうか?

小杉:はい、役立ちます。例えば、会議などで上司から、「前期の営業利益は16億円だったが、今期はちょうど3割増しで着地になりそうだ」と言われたときにも、16×1.3(=20.8)をおみやげ算で暗算して、「今期は20億8千万円ということですね!」と即答できると、「数字に強い人」という印象を持たれるかもしれません。

──確かに、即答できると「お、なかなかやるな」と思われそうです。ビジネスシーンに限らず、暗算ができる、計算ができることは、人生のおいてどのようなメリットがあると思いますか?

小杉:「人生を変える力がある」といった大それたことは言えませんが、「変えるきっかけ」になる可能性はあると思います。なぜなら、算数や数学は「論理的思考力」を養う学問だからです。物事を筋道立てて考える力は生きるうえで大事なので、学ぶ価値が大きいと思っています。とはいえ、算数や数学は一朝一夕で身につくものではありません。日々の学習を積み重ねていくことで徐々に力がついていくものです。

おみやげ算は、算数や数学という広大な領域から見ると、一粒のかけらのように小さな存在かもしれません。しかし、今まであまり知られていなかった計算方法であり、しかも小学生でも理解できることから、算数や数学に興味を持つきっかけになると考えています。学び直しが社会的なテーマになっている現在、この本は算数や数学に苦手意識を持っている方が、もう一度学び直すきっかけになり得る一冊だと思っています。

──論理的思考力を身につける学問に興味を持つきっかけになる、ということですね。論理的思考力の大切さを、小杉先生はどのように感じていますか?

小杉:今は、社会が時代に合わせて変容し、終身雇用や年功序列が不安定になり、実力主義の世界になりつつあります。そのため、一人ひとりの論理的思考力の強さが以前にもまして必要です。例えば、一見間違っていると思われる意見でも、論理的な正しさをもとに丁寧に説明すれば、その正しさゆえ、上司に納得してもらえるといったこともあります。ですから、これからの社会を生き抜くためには欠かせない能力だと思います。

さすがに、おみやげ算が「論理的思考力を鍛える」という高度なところまでフォローできるとは言えませんが、計算力は数学の基礎です。そう考えると、おみやげ算が算数や数学に取り組むための一助として、お役に立てるのではないかと感じています。

──おみやげ算を身につけることで、計算が苦手だった人は自己肯定感も上がりそうです。実際におみやげ算を伝えていく中で、相手の精神面が変化するのを感じたことはありますか?

小杉:おみやげ算は、授業の合間に雑談まじりに話せるくらい「お勉強感」が少ないのが良いところです。授業の合間に数字のマジックを見せるような感じで教えると、大体生徒は「本当に?」「冗談でしょう?」と言いながら、自分で計算して、実際に答えが出るととても驚いて興味深そうにしています。

算数や数学は、ときとして「数字も見たくない」というほどネガティブなイメージを持たれることもある科目です。このおみやげ算は、そんなネガティブなイメージをポジティブな方向に変える力を持っていると思います。誰にでも有効というわけではありませんが、きっかけにはなる可能性があります。おみやげ算をきっかけに、少しでも算数や数学に興味を持ったり、「自分にもできるんだ!」と自己肯定感アップにつなげていただけたりすればありがたいです。

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【異例の大ヒット】小学生向けの「暗算ドリル」が大人に大反響の理由とは?【著者】小杉拓也(こすぎ・たくや)
東京大学経済学部卒。プロ算数講師。志進ゼミナール塾長。プロ家庭教師、SAPIXグループの個別指導塾の塾講師など20年以上の豊富な指導経験があり、常にキャンセル待ちの出る人気講師として活躍している。現在は、学習塾「志進ゼミナール」を運営し、小学生から高校生に指導を行っている。毎年難関校に合格者を輩出している。算数が苦手な生徒の偏差値を45から65に上げて第一志望校に合格させるなど、着実に学力を伸ばす指導に定評がある。暗算法の開発や研究にも力を入れている。ずっと算数や数学を得意にしていたわけではなく、中学3年生の試験では、学年で下から3番目の成績だった。数学の難しい問題集を解いても成績が上がらなかったので、教科書を使って基礎固めに力を入れたところ、成績が伸び始める。その後、急激に成績が伸び、塾にほとんど通わず、東大と早稲田大の現役合格を達成する。この経験から、「基本に立ち返って、深く学習することの大切さ」を学び、それを日々の生徒の指導に活かしている。著書は『ビジネスで差がつく計算力の鍛え方』『この1冊で一気におさらい! 小中学校9年分の算数・数学がわかる本』(ともにダイヤモンド社)、『改訂版 小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)、『増補改訂版 小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる』(ベレ出版)など多数。

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