女性の就業増加で労働力は下支えされているが…

 22年1月以降、人事院は「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」を開催してきた。その趣旨は、国家公務員のよりよい働き方を実現し、各種政策運営に欠かせない人材の確保と定着を実現することだ。

 23年3月に人事院が公表した研究会の最終報告の概要では「超過勤務の縮減が必要不可欠」との文言が明記された。国会対応業務などが国家公務員の働き方に大きな負担になっている。その他の要因もあり、必要な人材をつなぎ留めることがより難しくなるとの危機感は高まっている。

 最も大きいことは、わが国における労働力人口の減少だ。経済学では、15歳以上の人口を労働力人口と、非労働力人口に分ける。非労働力人口は、労働力を提供していない人をいう。具体的には、学生や家事従事者、高齢者などが対象だ。

 一方、労働力人口は、就業者と完全失業者から構成されている。男女合計でみると、わが国の労働力人口は19年に6912万人でピークを記録した。性別では、男性のピークは1997年の4027万人だった。一方、2022年、女性の労働力人口は3096万人で過去最高を記録した。

 全体としては、女性の就業増加によって労働力の供給は下支えされてはいる。ただ、中長期的には、人口減少、少子化、高齢化の進行によって労働力人口の減少は避けられない。労働力を補うためには、移民の受け入れや出生率の引き上げが必要だ。

 移民受け入れに関して、わが国の文化はどちらかといえば単一だ。英語など言語面での対応の課題も多く、移民の導入による労働力不足の解消は容易ではない。出生率引き上げも一筋縄ではいかない。

 また、コロナ禍をきっかけに、世界中で働き方が激変した。多くの企業では在宅やテレワークによる就業が推奨された。それによって、子育てや介護など、仕事と家庭のバランスをよりよく実現できることに気づいた人は多い。