旧統一教会サイドも「聖地認定」していない

「それはそっちの知識不足が悪い!鈴木エイトさんや有田さんの本を読んでしっかり勉強しておけ」という怒声が飛んできそうだが、旧統一教会にそこまで関心のない地元の方が、そういう認識になるのもしょうがない部分もある。

 実は有田氏が指摘した「下関は旧統一教会の聖地」という話は、当の信者たちの間でもそれほど有名な話ではない。筆者も知り合いの信者何人かに確認したが、「そうなんですか?」「はじめて聞きました」と首を傾げていた。すっとぼけているようでもなく、心から素直に驚いていた。

 なぜこういうリアクションになるかというと、教団としてのオフィシャルな「聖地」は、文鮮明氏が1965年に来日した際に定めた、東京、名古屋、大阪、高松、広島、福岡、札幌、仙台の8カ所だからだ。だから、幸福の科学のように教団として「下関に行って巡礼しましょう」なんて呼びかけもしていない。

 教祖も教団も「聖地認定」していない。信者が大挙して押し寄せて“下関詣”もしていない。

 だから、下関市民からすれば今回の有田氏の発言は寝耳に水だった。その中で、「何をワケのわからないデマを流しているんだ!」といきり立ってしまう人が現れるのは、サヨクやウヨクだというイデオロギー関係なくしょうがないのではないか。

 だが、一方で、有田氏らのように旧統一教会を追いかけてきたジャーナリストや弁護士センセイたちの間では、下関が旧統一教会の聖地だというのは、「議論するのも馬鹿らしい常識」「基礎知識」でもある。冒頭で紹介したように、教団幹部が言及しているという「事実」もある。

 なぜこんな奇妙な現象が起きるのか。