20年以上多くの読者に選ばれ続けてきた大学案内大学図鑑!』が今年もパワーアップして発売された。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声によってつくられた本書は他の大学選びのひとつの手段として選ばれている。本記事では最新版である『大学図鑑!2024』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。(本記事は2022年12月時点に執筆した『大学図鑑!2024』をもとにしています)

大学生Photo: Adobe Stock

近畿大学はどんな雰囲気?

 関西の国立、有力私立の滑り止めで入った学生たちの宝庫だが、鬱屈している人は少ない。人種のるつぼで揉まれ、近大の何となく明るい雰囲気に包まれていると、志望校がどこだったかなどはどうでもよくなる。大学による新聞広告や交通広告を使ったPRもうまい。「マグロ大学って言うてるヤツ、誰や?」(2014年)「近大は万博だ」(2019年)などの尖ったキャッチコピーが話題になり、知名度がアップした。東大阪キャンパスも大きくリニューアルされつつあり、学生たちの自己肯定感は高まっている。

 昔から経済的にもキツキツの学生が多いが、周囲の物価が安いので気にならなくなる。ファッションにお金はかけず、カジュアルな中に何か自分らしさを取り入れるのが近大流。古着をおしゃれに着こなす人もいて、古着好きが集まるサークルも複数存在する。東大阪キャンパスで一人暮らしの学生の場合、家賃は4万~6万円程度。自宅通いは「奈良から1時間以上かけて」という人も普通にいる。下宿先はキャンパス周辺~長瀬駅エリアが主流。飲み会は、大学通りの居酒屋でひたすら「飲み」に徹するパターンが多い。

 アルバイトは居酒屋やファミレスなどの飲食店、コンビニなど元気さがウリになる仕事が主流。大学の掲示板には塾講師や家庭教師など教育関連の募集が張り出される。一部の体育会系の部活は有名だが、サークル加入率は意外に低い。「数が多すぎて迷っているうち、入る時期を逃した」(経営学部生)、「1年からのゼミで友人ができ、サークルには行かなくなった。学園祭にもゼミで参加する」(総合社会学部生)。

甲南大学はどんな雰囲気?

 恵まれた環境で育ったせいか、性格はおっとり。遊び人っぽさもなく、肩の力の抜けた余裕を感じさせる。ただ、お金持ち学生のイメージが先行していて、一般学生は困惑気味。附属上がりと大学入学組の確執もチラホラ耳にする。

 とはいえ全体的には、外車を乗り回している学生とバイトに明け暮れている学生とは、自然に生息領域が分かれている。そのため、良くも悪くも互いに侵食し合わず、平和に共存関係を維持。みんな仲良くというお約束を前提に学内イベントで盛り上がるのも甲南大生らしさだ。出欠が厳しいわけでもないのに、講義の出席率はわりと高い。サークル活動は盛んで、学食の決まった席に行けば誰かメンバーに会える。

 ファッション・オタク的な学生も一定数いて、キャンパス内には流行に過敏な独特の雰囲気があり、眺めるのは面白い。女子は本当にセンスが良く、かわいい子が多い。男子にも、アクセサリーや小物にまでこだわりを感じさせる人が少なくない。出身地は兵庫県が7割弱、大阪府が2割弱、その他は近畿圏、中四国などが残りを占める。関東での知名度は低い。