実際にあった心ない声
一部の客が過激な反応

 ここまでの説明が長くなったが、同社の離乳食提供に、そもそもどのような反応があったのかを簡単に紹介したい。

 4月18日に同社のツイッター公式アカウントが「小さなお客さまへ 4月25日(火)より、Soup Stock Tokyo全店で離乳食・キッズセットの提供をはじめます」と、画像を添えて告知した。

 離乳食(後期)の無料提供に加えて、「もう少し大きくなったお子さまにはキッズセットのご用意も」と説明されていた。

 これに対して、飲食店での家族連れ利用を嫌う一部のユーザーが反発。無料目当ての客が増えるといった声もあった。「物乞いママだらけになる」など、過激な言葉で非難しているツイートも実際に見られた。

「スープストックトーキョー」は、確かに女性の一人客利用が多いイメージのある店だ。筆者は都内の複数の店舗でランチ時に何度か利用したことがあるが、7〜8割が女性で、仕事の休み時間に利用していると思われるビジネスライクな格好の女性も多かった。店内もカウンター席が充実していて、一人客が気兼ねなく利用できる雰囲気がある。

 ただ、近年では男性の一人客も以前より見かけるようになったという印象があった。スープというと物足りないように感じるかもしれないが、2種類のスープやカレーが選べたり、具材が大きかったり、ご飯の量を選べたりするので、それなりに満腹感はある。外食で不足しがちな野菜や海藻を取れるメニューがあるところもよい。基本的に女性のニーズに沿いつつも、オプションでの幅を持たせて個別のニーズにもかなうサービスとなっていると感じていた。

 そのような行き届いたサービスが提供されていただけに、一人で落ち着いたランチができる場所だと思っていたユーザーからすると、「家族連れ歓迎」を強く打ち出されることへのがっかり感はあったのかもしれない。

 しかし高級店ではない、駅構内に店舗も持つチェーン店が、一人客に配慮して家族連れにご遠慮いただくというのは現実的ではない。

 また、ネット上では実際に上記のような声が上がったとはいえ、これがこれまでの同店顧客の大多数の意見とは思いづらい。実際に、これからも利用するとか、同社の姿勢を支持するというファンの声もある。