金融取引トラブルのほとんどはシニア世代がらみ

 金融取引をめぐるトラブルで、特に注意が必要なのが60歳以上の世代です。これは偏見ではなく、実際に起きているトラブルの多さに基づいています。

「証券・金融商品あっせん相談センター」(略称FINMAC、フィンマック)という機関をご存知でしょうか。フィンマックは、法律に基づく中立的な機関(ADR)であり、金融トラブルに関する訴えがあった場合に、弁護士などで構成される紛争解決委員から和解案を提示するなどして、裁判外の方法で解決を図ります。

 このフィンマックでは、四半期ごとに紛争解決手続(あっせん)の事案を公表しており、現場でどのようなトラブルが発生しているのかを知ることができます。

 事案の内容を見てみると、トラブルになる商品としては「EB債」などの仕組債が半数以上を占め、次いで新興国通貨がらみのものや投資信託関連のものが続きます。そしてトラブルに関わっているのはほとんどが60代以上の高齢者で、若い世代はまずいません。

 フィンマックが公表しているトラブルの原因としては、「適合性の原則」をめぐって争いになっているケースが多くあります。

 金融商品取引法では、顧客(一般投資家)を保護するために、銀行や証券会社などの金融業者に対して、顧客の知識、経験、財産の状況および投資等の目的に照らして不適当と認められる勧誘を行ってはならないと義務付けられています。これを「適合性の原則」といいます。要するに顧客の金融知識や投資目的、保有資産に合わせて勧誘しないとダメ、という当然のルールです。