その背景には、3月21日、ポーランドから夜行列車で10時間をかけてウクライナの首都キーウを電撃訪問しゼレンスキー大統領と面会したこと、そして、4月15日、和歌山市の雑賀崎漁港で遊説直前に爆発物が投げ込まれたことがある。

「一つ間違えば命の危険性すらあった出来事を無事にクリアできた。これで大きく変わった」とは、岸田首相に近い政治ジャーナリスト・後藤謙次氏の言葉だが、自民党内からも、「ウクライナ訪問と爆発物事件で首相は変わった」(菅グループ中堅議員)といった声が聞かれるようになった。

 被爆地の広島で開催されるG7サミットは、「核兵器の根絶」と「対ロシア」「対中国」が焦点になるが、ここで「核兵器なき世界」を打ち出し、中国とロシアの動きをけん制することができれば、その余韻が冷めやらぬうちに、6月21日の通常国会会期末を待たず、解散・総選挙に打って出る可能性もある。

長野県軽井沢町で開かれたG7外相会合長野県軽井沢町で開かれたG7外相会合(筆者撮影)
G7サミットの会場となるグランドプリンスホテル広島G7サミットの会場となるグランドプリンスホテル広島(筆者撮影)

 首相が解散を意識するようになれば、その2~3カ月前には「勝つための布石」を打つことが多い。仮に、6月27日公示、7月9日投開票、あるいは前後の選挙日程になれば、「勝つための布石」はウクライナ訪問であり、その後、関係改善で合意した日韓首脳会談であり、G7サミットだったということになる。

 もちろん、解散のタイミングは秋以降になる可能性も十分ある。ただ、もし7月9日を投開票日に設定すれば、前日の8日が、安倍元首相が死去して一周忌に当たるため、自民党候補の各陣営は奮い立つに相違ない。