中国に公然とけんかを売り
日米と寄り添う姿勢を見せた韓国

 一方、民主主義国家も押されっ放しではない。特筆すべきは、4月26日に開かれた米韓首脳会談である。会談では、北朝鮮が韓国に対し核攻撃を仕掛けた場合、アメリカは核戦力を含む抑止力で韓国を守るとする「拡大抑止」の強化で合意した。これは中国にもくぎを刺したものと筆者はみる。

 会談後、両首脳が発表した共同声明には、日米韓3カ国の関係強化が盛り込まれ、アメリカが、核兵器を搭載できる戦略原子力潜水艦を韓国に派遣すると明記した。安全保障面に限らず、半導体、電池、EV(電気自動車)、AI(人工知能)等の分野でも連携を強化することで合意した。

 中国にとっては不愉快極まりない話である。中国は、2017年4月、韓国にアメリカのTHAADミサイル(地上配備型の弾道ミサイル迎撃システム)が配備された際、中国外交部が駐中韓国大使を呼びつけ執拗(しつよう)に抗議したほか、全ての旅行代理店に訪韓ツアーの販売を禁じたほど怒りをあらわにしている。

 人民日報系の環球時報などは、当時、「韓国人はキムチの食べ過ぎで頭がおかしくなったのか」との論評を掲載したほどだ。今回も米韓の動きを脅威に感じていることだろう。

 逆に、政権が発足してまだ1年で低支持率に悩む尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領からすれば、国内での反発を予想しつつも日本との関係改善に踏み切り、今度はアメリカに接近して中国との対立姿勢を鮮明にするという大ばくちを打ったことになる。