携帯電話ショップでは
ショールーミングが進むかもしれない

 ここで気になることが一つあります。弱者がスマホに関しての今回の値上げ対策をすることで、店舗で質問してネットで購入する「ショールーミング」が進むかもしれません。

 要するに、わからないところは家電量販店やドコモショップに出かけて従業員さんに詳しく説明してもらうのですが、最後の最後で、「だいたいわかりました。一度家に帰って考えてみます」という人が増えるのではないかという話です。

 なぜなら、だいたいわかった後であれば最後は家族に頼んでネットで契約すれば、3850円の手数料がかからなくなるからです。

 そうなってくると今回の値上げの結果、全国のドコモショップの経営が苦しくなるかもしれません。そうなるとどうなるのか? ビジネスの世界ですから利益を産めない販売チャネルは切り捨てやすくなります。

 ATMも同様です。今は銀行のATMが減ってもセブンとイオンにATMがある限りATM業界は安泰に見えますが、いずれセブン銀行もイオン銀行もキャッシュの利用者が減ってくるでしょう。

 次第に、「レジでお金を引き出せるようにしたほうが、コストがかからないんじゃないのか?」と気づくようになります。実際、アメリカではデビットカードを出せばレジで現金を受け取れます。その結果、最終的にはATMへの設備投資がいらなくなります。

 このように「弱者切り捨て型の値上げ戦略」には、奥深いところまでのコストカット効果が狙えるのです。

 ただ、気を付けておくべき点は「その弱者とはひょっとすると、回り回って自分ではないのか?」というその一点にあるということです。

 切り捨てられないようにご用心を。