「本気で英語を話せるようになりたい」という人に役立つ1冊が『話す力が身につく5分間英単語』だ。1トピック5分の英単語トレーニングで、実践的なスピーキング力やリスニング力を向上させることができる。著者は、英字新聞編集長を10年以上務める高橋敏之氏。一般的な英単語集には記載されていない「ニュアンス」や「実際の使われ方」を丁寧に解説した。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
matter:「話の材料」から意味が発展
matter:
(1) 問題、事柄
(2) 重要である
(3)(no matter what/how...の形で)たとえ~でも
matterという語の歴史をたどると「物質、材木」を意味する言葉に行き着く。material(材料、原料)と語源的につながっている。
そこから「話の材料=話題」⇒「問題、事柄」という意味が生じ、さらに「しっかり問題として認識される=重要である」という発想から、「(主語は)重要である」という動詞としても使われるようになった。
こう考えておくと、それぞれの意味のつながりが見えやすい。
(1) 問題、事柄
It’s no laughing matter. I nearly died!
笑い事じゃないよ。僕は死にかけたんだ!
◆ laughing matterで「笑い事」
We discussed the matter over the phone.
私たちはその事柄について電話で話し合った
◆ 「事柄」の意味でmatterを使うのは、ややフォーマル。日常会話では単にdiscussed itと言うことが多い
I guess it’s only a matter of preference.
それは単に好みの問題だと思う
◆ a matter of ~(~の問題)という形で用いることが多い
Tokyo is likely to be hit by a major earthquake within the next 30 years. It’s not a matter of “if,” but “when.”
東京は今後30年の間に巨大地震に襲われる可能性が高い。それはif(起こるかどうか)ではなく、when(いつ起こるのか)の問題だ
What’s the matter? You look depressed.
どうしたの? 落ち込んでいるみたいだけど
What’s the matter with you today?
お前今日どうしたんだよ?
◆ What’s the matter? は直訳すると「何が問題なのか?」だが、これは「どうしたの?」と相手を心配する表現。一方What’s the matter with you? は、主に相手に対していらだっている時に使うことが多い
To make matters worse, the car broke down again.
さらに悪いことに車がまた故障した
◆ to make matters worseは「さらに悪いことに」という意味の表現
I’ve never been to China, or any foreign country for that matter.
中国には行ったことがありません、というかそもそも外国に行ったことがないのです
◆ for that matterは「そのことについてさらに詳しく言えば」という意味の表現。主にand/orの後で使われる
Don’t talk to me like that ─ or to anyone else for that matter.
俺にそんな口の利き方をするな、というか誰に対してもだ
(2) 重要である
Does it really matter?
それって本当に重要なこと?
It doesn’t matter who you used to be. What matters is who you are today.
過去にどんな人であったかは重要ではない。重要なのはあなたが現在どんな人であるかだ
(3)(no matter what/how...の形で)たとえ~でも
No matter what you say, nobody will believe you.
あなたが何を言おうと、誰も信じないよ
◆ no matter what⇒whatever、no matter who⇒whoever、no matter where⇒whereverのように、多くの場合〈疑問詞+ever〉に置き換え可能。ただし、Whatever you say doesn’t matter.(君が何を言おうと重要ではない)のように、〈疑問詞+ever〉は文の主語や目的語として使えるが、no matter ~はこの形で使えないので注意
Apple fans will buy the new iPhone, no matter how much it costs.
アップルのファンは値段がいくらでもその新型iPhoneを買う
(本稿は『5分間英単語』から抜粋・編集したものです。)