オーディション決勝で野性爆弾と戦うも30対0の大敗北で引退。その後、4年間のニート生活、7ヵ月の家電販売員生活を経て、25年来の幼なじみと起業。創業以来18年連続増収増益、年商140億円、Financial Timesが選定する「急成長企業未上場日本一」、ベストベンチャー100、経済産業省認定「地域未来牽引企業」などに選定された、スプリーブ(Suprieve)ホールディングスをご存じだろうか。社長は4年間、お笑い芸人として活動した森武司氏。
急成長の一因に、話題のベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』(木下勝寿著)の存在があったという。今回から同書の「やる気に頼らず楽しみながらできる」45法則のうち、森社長が「これは効いた」「とにかく沁みた」と大絶賛する10の法則をピックアップして紹介。2回目は「平気で9回連続失敗してもヘコタレナイ人の共通点」に迫ろう。(構成:橋本淳司)

平気で9回連続失敗してもヘコタレナイ人の共通点

本当にウケるネタは
10本に1本!

――ベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則』の中には、「世の中は10回本気でやれば、誰でも1回成功するようにできている」「私はこれまで10回本気でチャレンジして成功していない人を見たことがない」とあります。森社長も同様の考えをお持ちだとか。

森武司(以下、森):僕らが13の事業を行い、年商140億円になるまでを振り返ってみると、まさに「10回に1回の法則」をやってきた歴史だと断言できます。

 とにかく思いついた事業はやってみました。

 パッと始めて1年経って赤字だったら撤退すればいい、という考えです。

――13の事業は実にさまざまですね。

森:化粧品、人材派遣、広告代理店、美容、ART、YouTubeなど、ほとんど関連性のない13事業です。「こんなことをやってみたいな」、「まあ1回やってみようか」という感じでスタートしているので。

――多くの人は、失敗するのが怖いとつい慎重になってしまう。

「やるべきことをじっくり選んだほうほうがいいのでは?」

「きちんと考えて行動すべでは?」

 と考えてしまいます。

 フットワーク軽くパッと始めるコツはなんですか?

森:僕はもともとお笑い芸人やっていました。

 当時は、週1本ネタを書き、オーディションを受けという日々でした。

 もちろんネタは全部ウケようと思ってつくるのですが、本当にウケて、自分らの持ちネタになっていくのは、10本に1本くらいです。

 毎週1本ネタをつくり、2ヵ月半に1回ウケるネタができ、年間通して5本ぐらい持ちネタになる。

 これはお笑い芸人なら、みんな持っている共通の感覚だと思います。

当たらなくても
「まあそんなもんやな」

――その感覚が今の仕事でも続いている感じですか?

森:経営者になってからも、一つひとつの事業を本気でやっていますが、1回のチャレンジですぐに成功するほど甘くはない。

 だから、どんどん事業をつくります。

 これまでに約30の事業に挑戦したと思います。

 現在13の事業はすべて黒字化していますが、売上10億円を超える事業は3つなので、ちょうど10回に1回の法則が当てはまりますね。

――これまでに失敗が続き、さすがにまずいんじゃないかと思ったことはありますか。

森:どの事業も全力で当てにはいきますが、10回に1回の法則を考えると、

「当たらなくてもしかたない」

「いい経験ができたから、次に活かそう」

 という感じが強いです。

 もちろん当たらない前提ではないですが、当たらなくても「まあそんなもんやな」と思っています。

――とは言いつつも、失敗は怖くないですか?

森:怖いですよ。身一つで勝負していますからね。

 だからこそ、会社のリソースを一つの事業に注ぎ込みません。

 失敗してもいいように配分を考える。一つの事業には最大5分の1くらいの資金しか入れません。

1回当たれば
9回の失敗分は余裕で取り返せる

――1回の挑戦を是が非でも成功させようと、「一発必中」の感覚で生きている人も多そうです。でも、「10回挑戦して1回当たればいいや」と思えると気がラクになりそうですね。

森:ゆとりがないとストレスがたまってしまいます。

 木下さんが言うように、成功したければ必ず10回やることです。

 そのためにも、3つのことが大切です。

――3つとは?

森:1.最初の9回は失敗するという心構えを持つ

 2.10回やることを前提にしたスケジュールを立てる

 3.10回実験する前提で資金配分する

 です。

 もう一つ、「一発必中」の感覚で生きている人に知ってほしいことがあります。

――なんでしょう?

森:1回当たれば9回の失敗分は余裕で取り返せることです。

 たとえていえば、サイコロを振って1が出たら、それまでの負け分は全部返してもらえるというルールのゲームをやっているようなものです。

 このルールだったら、1回1000円でも怖がらずにサイコロを振れるでしょう?

チャレンジを重ねるほど
成功確率は上がっていく

――その1000円も、所持金が1万円ある中での1000円なので、ヒリヒリ感も少ないというわけですか。

森:資金配分は常に考えます。

 経営者目線でいえば、10分の1の資金を失っても正直痛くもかゆくもない。

 事業が当たれば、投資額の10~20倍のリターンがあるので、基本的には右肩上がりになります。

 僕らは18年連続増収増益ですが、10回に1回は当たるとわかってやっているので、続ければ続けるほど、売上も利益も上がっていきます。

10回に1回、必ず当たるゲーム」をやっているのです。

――「10回に1回、必ず当たるゲーム」というのはすごい言葉ですね。

森:人生も一緒だと思うんです。

 恋愛でも就活でも、一つうまくいかないと、そこでずっと止まってしまう人がいますが、9回のチャレンジの先に一つの成功が待っているぞという感じですね。

――人生が好転しそうな考え方ですね。

森:それに僕の感覚では「10回に1回」は最低確率だと思います。

 努力や経験によって10回に2回、10回に3回と確率を上げられます。

 10回に1回は入口で、チャレンジを重ねるほど成功確率はよくなる。

 まずは10回やることが大切ですね。

時間最短化・成果最大化の法則』は共感するところが多く、新入社員や若い人たちからベテラン社員、社長まであらゆる人たちに読んでほしいです。

 とくに、「10回に1回の法則」をこのタイミングで熟読しておくと、今後の伸びが劇的に変わってきます。極めて重要な法則ですので、本書で詳しく学んでみてください

【著者プロフィール】
森 武司(Takeshi Mori)
スプリーブ(Suprieve)ホールディングス代表取締役CEO
Financial Times「急成長企業 未上場 日本一」
「ベストベンチャー100」受賞
経済産業省認定「地域未来牽引企業」
創業以来18年連続増収増益
1977年大阪生まれ。高校卒業後、NSC吉本総合芸能学院入学。4年間お笑い芸人として活動しオーディション決勝で野性爆弾と戦うも30対0の大敗北で引退。ショックを受け、そのまま4年間ニートとなる。長期間のニート生活から就職が難航。苦難の末に入った家電量販店で販売員をするも7ヵ月で退職。それを機に幼稚園から小中高と幼なじみで25年来の友人を誘い起業(わくわくエッサ有限会社)。金なし、コネなし、高卒、4年間ニート生活など、いわゆる社会的弱者ながらゼロから起業(2005年)。現在、13事業で年商140億円まで伸ばしている。採用基準に“友達になれそうな人”を掲げ、新卒社員を1年で1000名採用。化粧品、人材派遣、広告代理店、美容、ART、YouTubeなど関連のない13事業すべてを黒字化するまで育てるマーケティング戦略に注目が集まっている。何も持たない負け組でも、25年来の仲間と起業して成功できる“仲間力アップマニュアル”を再現性のある形で確立。幼稚園から40年来の友達が役員。