人の上に立つと、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。これまでのシリーズ『リーダーの仮面』『数値化の鬼』でも「自分のやるべきことが見つかった」「日々の仕事に役立ちすぎる」「何度読んでも言葉が深く刺さる」など、多くの賛同の声を集めた。そんな大人気シリーズ最新刊の本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「あなたがダメな管理職かどうか」を試す“たった1つの質問”をご紹介する。(構成/種岡 健)

「ダメな管理職かどうか」を試す、たった1つの質問Photo:Adobe Stock

「ダメなチーム」の特徴

 働く大前提に、「期限を守る文化があるかどうか」ということが問題としてあげられます。

 期限を守ることが最低限できたうえで、初めて仕組みは機能します。

 たとえば、ある仕事において、締切を設定したとしましょう。
 その見積りが甘く、締切に遅れそうなことが前もってわかるのであれば、それは速やかに、

「作業量が多く発生しているので、締切を変更させてください」

 と、部下から報告がされないといけません。
 そういったコミュニケーションが、仕組み化の前提にあることを押さえておきましょう。

「責任」があれば、
「忘れていた」はなくなる

 では、あなたの組織に、その習慣が浸透しているでしょうか。
 それを確かめるためには、

「すみません、忘れていました」

 という言い訳が許されるかどうかでわかります。
 自分が言ったり、部下が言ったり、上司が言ったり……。シチュエーションはさまざまあると思います。
「忘れていました」が言える環境になっているのであれば、仕組みは機能しません。
 締切が存在しない仕事はありえません。

 締切のない仕事は、ただの趣味です。

「あの件って、どうなった?」
「すみません、忘れていました」

 そういう会話が当たり前のように成立するのはマズい状態です。

 どんな仕事であっても、構造は同じです。

 チームや個人の目標があり、それぞれがタスクを分担し、締切を設定し、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしながら、全員で前に進めていく。

 それしかありません。

「すみません、言える雰囲気じゃなかったからです……」

 というコミュニケーションがあるときは改善の余地ありです。
 このケースは「心理的安全性」の文脈で語られがちですが、それ以前の話です。

「気合いで覚えておきます」
「次からは忘れません」

 というだけの対応は、解決になりません。

 上司から部下に仕事を指示する場合は、同時に必ず、

「○月○日の17時までに仕上げてください」

 と、期限を決めるようにします。
 また、その日の17時になって、「間に合いませんでした」という報告にならないために、

「間に合わないことがわかったら、その時点で必ず期限が来る前に知らせてください。そのときに、『いつだったら間に合いそうか』の見積りも立てて報告するように」

 と、部下に伝えるようにします。
 そうやって、締切が絶対であることを徹底します。
 それにより、組織が仕組み化していく下準備が整います。

あなたが「ダメな管理職かどうか」を試す質問

 では、最後に「質問」です。

 質問:あなたは「締切」を設定しているか?​

 いかがでしょう。

「あの件って、どうなった?」という確認があるような状態はマズいです。

「次からは忘れません」と反省することは、何の解決にもなりません。

「○日までに終わらせる」
「○時までに報告をする」

 というように、締切を設定しましょう。
 それが決められていない仕事は、仕事ではありません。

(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)