社外取締役は特権階級――。そんな実態がうかがえる、何よりの指標が報酬金額になる。特集『社外取バブル2023「10160人」の全序列』(全11回)の#8では、社外取10160人の総報酬額を実名ランキングで完全公開。前編として上位5000人の実名と兼務社数、推計報酬額の合計を明らかにする。ランキングトップの報酬額は9900万円に上った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
トップ10の平均報酬額は7370万円!
複数社で社外取を兼務し「ぬれ手で粟」
どんな業務をしているか、外部からは、なかなか見えづらい社外取締役たち――。彼らの中には複数の企業において、そのポジションを兼務することにより、“ぬれ手で粟”ともいえる高額の報酬を享受している者たちが大勢いる。
コーポレートガバナンス(企業統治)改革の推進という旗印の下、社外取の需要は急激に増え、取締役会でも勢力を拡大している。しかし、一般的に月1回の取締役会に出席しさえすればよいのである。多くの社外取が、その役割を果たしていないにもかかわらず、お気楽な“特権階級”として高額報酬を受け取っているとみられる。
ただ、報酬額の個別開示を義務付けられているのは、1億円以上を受け取る役員に限られる。社外取が受け取っている報酬額の実態はベールに包まれているのだ。
そこでダイヤモンド編集部は、有価証券報告書のデータを基に、社外取の報酬額を独自に試算。複数社兼務の場合は、全社の金額を合算して実際に受け取っている報酬額に近づけた。こうして上場企業3900社、社外取10160人を「報酬」で完全序列化した、実名ランキングを用意した。
ランキングの上位10人の平均報酬額を計算すると、7372万円にも達した。彼らの兼務社数は平均で3.4社である。1位と2位の人物の報酬額はいずれも9000万円を超え、3~5位でも7000万円台という高い水準だ。トップ10には、官僚OBや財閥系大手商社の元首脳、外国人やコンサルタントなどが名を連ねた。
次ページでは、報酬額の上位5000人について、兼務社数や報酬の実額を紹介する。彼ら彼女らは、果たして報酬に見合うような活躍をしているといえるのか、ぜひ検証してみてほしい。