社外取バブル2023「10160人」の全序列#5写真:朝日新聞社/時事通信フォト

電力カルテルに東京五輪汚職、品質不正に幹部のスキャンダル……。不祥事が発生した有事の企業でこそ、社外取締役の真価が問われる。つまり、この場面で力を発揮できない人物は、高給を食む社外取としては失格ということだ。特集『社外取バブル2023「10160人」の全序列』(全11回)の#5では、関西電力や電通グループ、富士通などの不祥事企業18社の社外取82人の実名や報酬、兼務先を全て明かす。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

不祥事企業で真価が問われる82人
その実名・報酬額・兼務先を大公開

 平時には何もしていない社外取締役でも「実害が出ない限り、その不作為の罪は、なかなか表面化しない」(大手銀行幹部)というのが実態だろう。

 足元ではコーポレートガバナンス(企業統治)改革の美名の下、「社外取をどんどん増やし、メンバーに女性を入れて取締役会の多様化を進めよ」という圧力が日に日に強まっている。政府や市場の後押しで、社外取バブルが加速しているのだ。

「置物のように無能な人物が、取締役会の一角を占めるケースが増えてきた」(同銀行幹部)という指摘もある。ガバナンス改革推進の負の側面として生じている問題で、過渡期ならではの現象だろう。

 そこで今回ダイヤモンド編集部は、不祥事を起こした企業の社外取に着目した。渦中にあり、外部の人間ならではの知見や力を発揮できているかどうか。不祥事企業の動向は、消費者や取引先、株主など世間の耳目を引いており、任期中の成果がチェックしやすいという利点がある。

 不祥事の内容は、大手電力会社によるカルテルや、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件、品質不正など七つに分類。関西電力や電通グループ、東レや富士通など大手企業18社、計82人の社外取の実名と推計報酬額の合計などをリスト化した。

 なお、社外取に不祥事企業以外の兼務先がある場合、その兼務先の企業名も示した。兼務先の関係者にとって、不祥事企業での働きぶりが、自社の社外取として高額報酬に見合う人物であるかどうかを判断するリトマス紙になるだろう。

 それでは次ページで、不祥事企業の社外取・報酬額リストを確認していこう。