次に、私は姉と接触を試みることにしました。対象者の実家へ連絡し、愛美さんとともに窮状を訴え、協力はしなくて良いから、姉の住所だけ教えてくれるように頼みました。ずっと渋っていた対象者の母親も、愛美さんと私の熱意に根負けして姉の住所を教えてくれました。その際、「2度と関わらないでくれ!」と何度も念押ししてきました。対象者は母親に、愛美さんのせいで借金が膨らんだと、うそをついていたようでした。
対象者の姉の元へ
警戒されたものの姉の対応は?
翌日、私は姉のもとへ向かいました。6階建てのワンフロア20部屋ほどのマンションで、1階部分は出入り口のエントランスと駐車場になっていました。まずは出入りする人を確認するため張り込みをしました。すると3時間ほどして、防犯カメラの映像に映っていた白い軽自動車が駐車場に入っていきました。
車から降りてきたのは、40代後半から50代前半と思われる女性で、目元が対象者と似ていました。マンションのエントランスを入り、教えられた号室に入るのが外から確認できました。教えられた住所情報に間違いはなく、対象者の姉であろうと思われました。
今ほど情報確認できるチャンスはないと思い、愛美さんに確認のうえ聞き取り調査を行うことにしました。
私はエントランスでインターホンを鳴らしました。数秒後「はい」と姉が応答しました。礼儀正しく彼女に話しかけましたが、初めは当然ながら警戒されました。しかし、私が探偵であることを明かしたことで、彼女は少し打ち解ける様子を見せました。私は彼女に愛美さんの心情や現在の状況について丁寧に説明し、離婚したい理由や子どもと平穏に暮らしたいという愛美さんの思いを伝えました。
姉は対象者から家出の理由や、借金について全く事実に反する説明を受けていたようで、現在対象者をかくまっていると教えてくれました。対象者の姉は正義感と、正当な判断力を持ち合わせていました。そして協力することを約束してくれました。
後日、愛美さんと再訪して、対象者と姉と話し合いました。