「過去のデータ」を調べ尽くすこと。これを続けるだけで「仕事がデキる人」認定されやすくなるのに、怠っている人は案外多い。3つのポイントをしっかりおさえて「過去データ」を調べれば、「頑張っているのに成果につながらない」という悩みが解決できるかもしれない。
リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語る。本稿では、平尾氏が執筆した『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』より一部を抜粋・編集して、「継続して成果を出せる人の習慣」を紹介する。

起業家の思考法Photo: Adobe Stock

世の中の問題は、99%が「過去問の相似形」

 継続して成果を出し続けている人が必ずやっていることがある。それは、「過去問」の調査を怠らないことだ。

 ぐんぐん成果を出せる人と、そうでない人の差は、執念深く過去のデータを調べ尽くせるかどうかにあると、『起業家の思考法』著者であり、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は語る。

 平尾氏は大学生の頃から起業経験があり、その分、悔しい思いもたくさんしてきたという。

 リクルートに入社後は、25歳でふたたび社長になり、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ……と、ハイスピードで成長し続けてきた。

 そんな大量のトライアンドエラーの蓄積から、平尾氏が確信していることが一つある。

 それが、仕事で圧倒的な成果を出したければ、「過去に問題を解いた人の要素を細かく分析し、どのようにして勝ったか、どのようにして成果を出したかを見極める作業」を、決して怠ってはならない、ということだ。

「過去トップの人はどれくらいの水準か?」「どのような要因が重要なのか?」などを徹底的に調べる。誰でもできることだが、案外、ここを手抜きしている人が少なくない。

 平尾氏は、本書の中でこう綴っている。

この点は、大きく差がつきます。なぜなら、ほとんどの人が「過去問(=過去の問題)」に当たっていないからです。(中略)
世の中に存在する問題は、99%過去問、あるいは過去問の相似形でしかありません。だとしたら、事前に過去問に当たる作業は絶対にやるべきです。過去問に当たったうえで、その先の1%の問題の本質に対する準備に集中する。そうすれば、問題を解決し、高い成果を上げられるようになると思います。(P.74-76)

仕事ができない人ほど「とりあえず手を動かす」をやりたがる

 受験勉強や資格試験対策であれば、志望校の赤本を買い、過去数年分の問題を解く……つまり、「過去データ」に当たるのは、誰もがやっていることだろう。

 過去問を解くことで、受験生に何を考えさせたいのか、どんな知識を求めているのか、だいたいの傾向が見えてくる。過去問を解くことで、本番の準備もしやすくなる。当たり前にやってきたことだ。

 にもかかわらず、いざ「仕事」となると、私たちは、自分と目の前の仕事にしか目がいかなくなる。

 過去問に当たることをせず、「とりあえず手を動かそう」「まずできそうなところから手をつけてみよう」とやみくもに行動しがちだ。

「時間がないのに、過去問に当たるヒマなんてない!」と思うこともあるだろう。

 しかし、一見遠回りなようだが、本質的な問題解決にしっかりと時間を使うためにも、「過去問に当たる」という最低限の準備は済ませておきたい。

 問題解決のプロであるコンサルタントも、新しい問題に取り組むときには、過去のデータを徹底的に調べ上げるという。

 焦って手を動かしたくなるときほど、一度立ち止まって「過去問」と向き合う時間を作ろう。

 本書では、仕事で「過去問」を調べるときのポイントが挙げられている。

 今回は、3つのステップに沿って紹介しよう。

ステップ① 必ず「一次データ」を集める

 自分以外の誰かが集めた二次情報は、他人のフィルターを通して得られた内容であることが多い。その情報が正しいかどうかも不明瞭なため、できるだけ一次データを集めよう。

 可能ならば、過去に問題を解いた人に直接会いにいくことをおすすめする。

そういう人に会うと、その人と自分との差分が浮き彫りになります。結果だけ見て判断するのではなく、その人の強み、特徴や圧倒的な成果をすべて言語化できるように意識すると、差分を把握することができます。(P.76)

 まずは、優秀なチームメンバーや、社内のエースに話を聞かせてもらうのも手だ。取り組みやすいところからはじめてみよう。

ステップ② 「過去」のデータを整理する

 さて、とはいえ、「どこまで調べればいいの?」と迷う人もいるかもしれない。そんなときは、データを一度整理してみよう。

 目安になるのは、次の4項目だ。もちろん、情報はいくら調べても調べ足りないということはないが、これらの問いに対する答えを明確に用意できるようになったら、いったん次のステップに進んでみてもよさそうだ。

 【最低限おさえるべき4項目】
 ・売上がどのくらい上がったか? などの「規模」
 ・何人の顧客にリーチしていたか? などの「範囲」
 ・過去の成功者には、どんなスキルがあったか? など、持っていた「武器の強さ」
 ・何人が幸せになったか? 何人が感銘を受けたか? などの「深さ」

 翻って考えると、過去の成功者に話を聞く前には、最低限、この4項目を深掘りできるような質問を用意しておけるといいだろう。

ステップ③ 「過去問」を上回る「別解」を考える

 最後に重要なのは、過去の成功者に会っていろいろと教えてもらったからといって、その人と同じようにやろうと考えないことだ。

 多くの人は、過去の成功パターンをそのままコピーしようとする。しかし、変化のスピードが速い現代には、「こうすれば必ずうまくいく」という絶対的な答えは存在しない。

 誰かがアクセスできる情報は、他の誰かも聞いているはず。大学入試で毎年全く同じ問題が出題されるわけではないのと同じように、情報はどんどん陳腐化していくのだ。

 ならば、圧倒的な成果を残す人は何をやっているのかというと、「過去にうまくいったやり方」をさらに上回る「別の答え」を考える、ということだ。

 誰もが思いつくような方法を真似するだけではなく、そこから発想を広げて、新しい解決策を生み出す。

 スティーブ・ジョブズ氏や孫正義氏、柳井正氏など、偉大な起業家たちは、画期的なアイデアを無限に生み出す天才のように見えるかもしれない。

 しかし、彼らが考えたアイデアも、「99%の過去問」の上に成り立った「別解」に過ぎないのだ。

 本書では、「別解」を生み出すためのヒントが、実に31種類も掲載されている。仕事に行き詰まりを感じている人に、ぜひ手に取ってもらいたい一冊だ。