リモート会議にせよリアル会議にせよ、ダラダラと長時間続けた末にろくな成果の生まれなかった会議ほど疲弊するものもありません。会議の生産性を下げる要因は、挙げればキリがありません。しかし、その解決策はシンプルです。「経営理念」という抽象的でいつまでも決まらなそうなものの策定・浸透・実践を通して7年で100以上の組織経営を改善してきた生岡直人氏が、新刊『こうやって、言葉が組織を変えていく。』から、会議の生産性を上げる方法を伝えます。ぜひ今日から実践してみてください。(構成&撮影/編集部・今野良介)
生産性の低いミーティングには、決まって「意見が出ない」「意見を否定される」「消極的」などの共通点があります。
そういったネガティブな空気を一掃するにはどうするべきか?
ポイントは「アイデアを出す時間と、アイデアを選択する時間を必ず分ける」こと。
これをグランドルールに敷いてミーティングを運営していきます。
アイデアというのはいつも「生まれたて」であり、言い換えれば「思いつき」です。「根拠は?」と言われても、根拠が薄いこともあるでしょう。アイデアを出した時点で否定されれば、誰もが意見を言いにくくなります。
ですからまずは、たとえば15分や20分と決めて「アイデアだけを出す時間」を作る。
制約のないアイデアが出尽くした後で、ベストなアイデアを選択する時間を設ける。
アイデアの分母を最大にした後で選択できるから、生産性が高くなるのです。
私は企業やプロスポーツチームなどの理念策定・浸透のコンサルティングを生業にしています。
その際に組織全体の日々の行動指針となる「バリュー」を組織の構成員全員で決めていくのですが、個人から出てくるアイデアに対して、往々にして「できる・できない」「良い・悪い」の議論になりがちです。
バリュー案は「価値観の言語化」ですから、正解はありません。その組織にとってベストな価値観を探っていくだけであって、良いも悪いもないはずです。しかし、アイデアに対して「できる・できない」「良い・悪い」の判断が入ってくると、価値観自体を否定するような空気になってしまいます。
アイデアを出す時間と選択する時間は必ず分けて、絶対に否定せず、あくまで「選択」していく、という意識を組織に根付かせることが大事です。(本文終わり)