DRCは広いシートピッチのフットレスト付きリクライニングシートを備え、サロンルームやビュッフェまで設置された豪華車両でありながら、最高速度時速110キロ運転が可能で、国鉄日光線との激しい争いを制した名車であった。
現行のスペーシアは、ベージュ色の車体に無骨なフロントフェイスが古臭さを感じさせていたDRCに代わり、白い流線形の車体にオレンジのラインが印象的な近代的な車両として人気を博した。
バブル最盛期の車両だけあって、銀座東武ホテルを手掛けたデザイナーが担当した内装は高級感と落ち着きがある。スピーカー内蔵の大型ヘッドレスト(現在は廃止)とフットレストを備えた肉厚なシートとJRのグリーン車並みの居住性を持っており、さらに私鉄初となるコンパートメント(個室)が設けられた。
これら偉大な先達に続くスペーシアXが、その資格をもった車両になったのか、東武が6月6日に行った試乗会に参加して確かめてきた。
運転士目線で旅を楽しめる
個室とラウンジ
試乗会は浅草駅を10時30分に発車し、東武日光駅に12時21分に到着する列車内で行われた(試乗会では4番線から乗車したが、運行開始後は現在改装工事中の5番線が専用ホームになる)。発表済みの運行ダイヤとは異なるが、所要時間はほぼ同等だ。試乗会は6、7日と2日間にわけて行われたが、6日だけで40社70人が参加したことからも、期待の高さがうかがえる。
スペーシアX最大の特徴は多様な座席設定だ。スペーシアが普通車(264席)と4人乗りコンパートメント(6室)の2種類(計288席)だったのに対し、スペーシアXはスタンダードシート(130席)、プレミアムシート(35席)、4人席のコンパートメント(4室)、2人席のボックスシート(4室)、コックピットスイート(最大7人)、コックピットラウンジ(20席)の6種類(計212席)を備える。