スタンダードシートは座り心地十分
プレミアムシートで気になる「足元」
最も利用機会が多いであろうスタンダードシートとプレミアムシートについても触れておこう。スタンダードシートは2+2の4列シートで、シートピッチは現行スペーシアと同じ1100mmを確保。観光特急らしく1列あたり1つの窓が配置され、座席背面テーブルとインアームテーブル、コンセントを備える。
グレーのシートはシンプルな形状に見えるが、リクライニングは座面が連動してスライドし、座り心地は十分。また車両の性格上、そのような用途は少ないとは思うが、背面テーブルはこれまでの車両以上にしっかりとしておりパソコンを操作しても揺れにくい。
プレミアムシートは2+1の3列シートで、シートピッチは1200mm。現行スペーシアにも似た大きなヘッドレストを備えたシートは、より深く座面が連動する電動リクライニングで、読書灯を内蔵。またバックシェル構造のため後席に遠慮する必要がない。
ただ一点気になるのは足元だ。現行スペーシアは全ての普通席に反転式フットレストがあったが、東武は2017年にデビューした500系「Revaty(リバティ)」以降、足元の空間を広く使うためフットレストを設置していない。
フットレストについては使う人、使わない人で分かれるため、スタンダードシートでは省略してもよいだろうが、浅草~東武日光間でプラス580円のプレミアムシートについては、電動リクライニングに連動したレッグレストが欲しかった。近鉄特急のプレミアムシートはプラス600円(同距離換算)でレッグレストを備えていることを踏まえても、ややインパクトに欠ける。
深くリクライニングしてリラックスしながら移動するというより、車窓を眺めながら旅のワクワク感を味わう車両であり、コンセプトと異なるという考え方もあるだろうが、スタンダードシートの出来がいいだけに、もう一段の差別化が欲しかった。
ところでスタンダードシート、プレミアムシートとも低反発性のクッションで、体をちょうどよく受け止め、非常に座り心地が良い。ただ東武に聞くとこれまでと特に材質は変えていないそうで、フレームなのか表面素材なのかは不明だが、個人的には近鉄プレミアムシートのやや滑りがちな本革張りシートより収まりがいいと感じた。