プレーヤー時代を経て、30代や40代におとずれるのが「出世のタイミング」だ。ちょっと前までは同期と切磋琢磨していても、いつの間にか差がついてしまい、上司部下の関係になる。もしくは、可愛がっていた後輩が追い抜いていくこともあるだろう。「どこで差がつくのだろう…」「このまま今の会社で働き続けるべきか…」と困り果てる人も多い。
そんな悩めるビジネスパーソンにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。大人気シリーズ最新刊の本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「出世できる人」「できない人」を分かつ、たった1つの考えの違いについて解説する。(構成/種岡 健)
「マニュアル」をナメていないだろうか
いまの時代、「マニュアル」が軽視されています。
書いてある通りにやることはバカにされがちです。
しかし、マニュアルは、過去の苦労の結晶です。
世の中にあるレシピや法則は、過去の膨大な失敗を経て、残っています。
もちろん、それを見直すことは重要です。
しかし、最初からすべてを疑い、マニュアルを軽視してしまっているのが、いまのトレンドではないでしょうか。
いったん、その通りに、忠実になろうとするほうが、じつは成長は早いのです。
私の会社にも、識学講師マニュアルが存在します。
それに沿って、最初はロープレ(ロール・プレイング:役割演技)をしていきます。徹底的に叩き込み、トークを磨きます。
それをやっていくうちに「個性」は出てきます。
料理であれば、レシピ通りに作っていても、その人ならではのクセで「味」は出ます。
その順番を守りましょう。
マニュアルをナメないということです。
書いてある通りに、「忠実に実行する人」だけが、マニュアルのすごさに遅れて気づきます。
あるいは、新しい法則を発見し、マニュアルを改善できるのです。
「出世できる人」「できない人」を分かつもの
あなたが、ある特定のスキルを身に付けたとしましょう。
それにより、会社で大いに活躍できるようになるとします。
その後、2通りの考えに分かれます。
「このスキルを人に隠しておこう」という人。
「このスキルを人に教えてあげよう」という人。
前者は、自分の目標だけを200%クリアできたとしましょう。
後者は、全メンバーで全社の目標を120%クリアできました。
結果的に、前者では個人の売上がアップしただけですが、後者では会社全体の売上アップに貢献したのです。
こういう人が、組織では上にあがれます。
ただ、個人が組織に貢献できるかどうかは、多くの会社では「その人の性格やタイプ」で決まってしまっているはずです。
協力的か、そうでないかが、人によってバラバラになっている。
その問題を解決するのに、「仕組み化」が役に立ちます。
協力せざるをえない仕組みを、人の上に立つ人がつくり上げるのです。
先ほどの「マニュアル」の話でいうと、今度は、新しいマニュアルをつくる側になるということです。
組織全体に貢献する人が、組織では上にあがれるようになっていて、さらに上に立つ人が、貢献せざるをえない仕組みをつくり続ける。
成長の根底には、「仕組み化」の考えがあり続けるのです。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)