短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。「20年に一冊の本」とミリオンセラー会計士に絶賛された『売上最小化、利益最大化の法則』に続き、「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。【がっちりマンデー!!】(TBSテレビ系)のSNSで、「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜され話題となっている。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。

【効果検証済】若手の「欠落的欠点」を克服する秘密の研修 “ジョハリの窓の法則”とは?

初公開!
若手社員の欠点を修正する研修実況中継

 当社には「欠落的欠点」を修正する研修がある。

 その目的は「欠落的欠点」に気づいて改善することで、長期的に活躍できるビジネスパーソンになることである。

 研修は、日頃一緒に仕事をしているメンバーで5~6人のグループをつくり、

1 自分の欠点と、チームメンバーの欠点を把握する
2 自己認識と他者認識の違いを理解し、受け入れる
3 欠点克服のための解決方法を考え、アクションを起こす

 という流れで進む。

 このとき大切なのが、他者認識を受け入れることだ。

 「欠落的欠点」は、まわりから見るとまるわかりなのに、当人だけが意識できないというやっかいな特徴がある。

 チームメンバーが認識している自分の欠点を、「ああ、そうなのか」と素直に受け入れることがとても大切なのだ。

“ジョハリの窓”で 「欠落的欠点」を探す効果

 研修では心理学の「ジョハリの窓」というフレームワークを使う(▼図表17)。

【効果検証済】若手の「欠落的欠点」を克服する秘密の研修 “ジョハリの窓の法則”とは?

 これは自分自身が見た自己と、他者から見た自己の情報を4つに分け、自分自身を理解するフレームワークだが、それを次のように欠点の認識に応用する。

1 自分も他人も知っている欠点(「開放の窓」)
2 自分は気づいていないが、他人は知っている欠点(「盲点の窓」)=「欠落的欠点
3 自分は知っているが、他人は気づいていない欠点(「秘密の窓」)
4 自分も他人も気づいていない欠点(「未知の窓」)

研修のゴールデンルール

 メンバー同士で互いの欠点を話したり、シートに書き合ったりすると、そこで挙がった欠点は1、2、3に分類できる(4はほぼ挙がらない)。

 1と3は自分で気づいている欠点なので、すでになんらかの対策を自分でしていたり、対策をしていなくても、それなりに認識していたりするので改善の余地はある。

 だが、2は自分ではまったく気づけないので放置され、一切改善されることはない

 指摘されてもピンとこないだろうが、まずは受け入れることが大切だ。

 まわりから

 「コミュニケーションが取りにくい」

 と言われると、

 「そんなことない。いつも普通に話している」

 と反論したり、

 「頼んだ仕事をすぐに忘れる」

 「案件を放置する」

 と言われて、

 「忘れているんじゃなくて後からやろうと思っているだけ」

 と言い訳したりしていると、「欠落的欠点」はますます残ってしまう。

 研修では、「他者認識の欠点は自分の欠点と受け入れ、認識すること」をゴールデンルールとしている。

 そのうえで、それにどう取り組むかを決める。

 そして、2か月後に再び研修を行い、どう変わったかを互いにチェックする。

あえてメーリングリストで指摘する理由

 本人が「克服した」と思っても、まわりからは「まだ克服できていない」と言われることもあるので、本人が直そうと思ったら、部署内で指摘し合うしくみをつくる。

 たとえば、「ケアレスミスが多いこと」を改善中の人がケアレスミスをしたら、メーリングリストで報告する。

 本人は自分がミスしているという自覚がないので、あえてメーリングリストで指摘するのだ。

 多くのメンバーは「自分の『思考アルゴリズム』を書き換えよう」という気持ちで、「欠落的欠点」の修正を前向きにとらえている。

 この研修はとても有効なので、ダマされたと思って、ぜひ御社でもやってみてほしい

(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)