世界のワークエンゲージメントの現状

 ギャラップによると、22年は世界全体で仕事により高い満足を感じ、雇用、所得環境も改善したと感じる人が増えたという。09年は「仕事に満足感、やりがいがある」との回答率が12%だったのに対し、22年は23%だった。

 一方、22年は、「仕事にやりがいを感じない」との回答も18%あった。「指示された業務のみこなし、熱意も持っていない」は59%と高い。「業務への疲労感、ストレスを感じる」との回答も44%あった。

 雇用や所得に関して、「都市部や現在の居住地の周辺で、よい就業機会を見つけやすくなっている」との回答は、09年の29%から22年は53%に上昇した。その背景に、世界的に人手不足が深刻化していることがあるだろう。

 また、10に分けられた地域ごとに見ると、22年はインドなど南アジア地域の従業員の満足度が最も高かった。インドでは、前年から7ポイント上昇し33%に達した。次いで、北米(米国とカナダ)は前年から2ポイント低下したが、31%が仕事に満足していると回答した。

 反対に、満足度が最も低かったのは、欧州(13%)だ。第9位が中東および北アフリカ(15%)、第8位がわが国や中国を含む東アジア地域(17%)だった。いずれも、前年から横ばいだった。

 全体の傾向として、経済成長率が高い国では、仕事への前向きな評価が高まりやすい。中国からの生産拠点のシフトなどによって投資が増えているインドや、利上げにもかかわらず労働市場が底堅く推移する米国が代表例だ。

 業種別だと、IT先端分野で、より良い給与を手に入れ、やりがいを感じる人は増えているようだ。ただ、この分野では人工知能(AI)の利用増加などもあり、環境変化のスピードが加速している。そのため多忙やストレスを感じる従業員も増えている。それでも、転職機会の多さ、賃金増への期待は依然として強く、世界的に、前向きな気持ちで働こうとする人が増えている。