呼吸を意識することで、不安な気持ちが遠ざかっていく

満員電車や会議室で「息苦しい…」。突然パニック発作になったときの対処法とは?Photo: Adobe Stock

──​​『こころの葛藤はすべて私の味方だ。』の中でも「呼吸」で心身を整える話が出てきますが、呼吸って体にも心にも大切なんですね。

川野:はい。呼吸はすべてにつながっていて、「心と体の結び目」とも言えるでしょう。

なぜなら呼吸は体内で働いている機能の中で唯一、自分の意志でコントロールできる機能だからです。

心臓の拍動、腸の蠕動、汗の分泌、糖質の代謝など体内で起こっているほとんどの現象は自律神経にゆだねられています。

でも内臓の中で唯一、肺だけは横隔膜や肋間筋などの「呼吸筋」を使って、自らの意志の力でゆっくり呼吸したり早く呼吸したりできるのです。

そして、呼吸を活用して心を調えることも可能です。

先の例のように、ゆっくりと長く息を吐くのに意識を向けることで不安な気持ちからいったん距離を置き、さらには副交感神経をほどよく刺激することで体調を安定させることにもつながります。

──​呼吸は本当に大切なのですね。最後に、がんばりすぎて呼吸が浅くなりがちなダイヤモンド・オンライン読者の方にメッセージをお願いします!

川野:私たちは緊張したり、焦っていたり、ストレスを抱えていたりすると浅い呼吸になりがちです。そんなときはぜひ、今日ご紹介した坐禅の「数息観」を実践いただき、呼吸を通して心と身体を調えていただければ幸いです。

その上で、「自分は元来、悩みやストレスを抱えやすい」といった心の課題を認識しておられる方は、一度『こころの葛藤はすべて私の味方だ。』を読んでいただくと自己の内面について新たな発見があるかもしれません。

自分の心について洞察を深め、自ら心身を整えたい方には、まさにおすすめの1冊だと思います。