1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。
子育てステージを移行するときの6つの注意点
3つの子育てステージを進めていくにあたり、特に注意すべきポイントがいくつかあります。子どもの精神年齢や性格、親の関わり方によって、成長の早さにも違いがありますから、そこも理解したうえで対処しましょう。
一般的にはまず、女の子のほうが男の子より精神的に早く成長し、先のことを考える時間の概念も早く理解できるようになります。
ただし精神年齢については、単に早咲きか、遅咲きかの違いですので、どちらがいいとか悪いとかいう話ではありません。
また、「牧場型」に移行して自由になったあと、動画やゲームにハマる子と、ルールを守り自己管理できる子の差も広がります。これは、最初の親子の話し合いが決め手になります。
①時間軸の概念があるかないか
「牧場型」以降は、子どもの時間の自由度が高まっていきます。同時に先を見越して準備する時間の概念があるかないかの差が生じます。平均的に女の子は小学5年生、男の子は中学2年生の夏ぐらいから、時間の概念がわかるようになります。
それまでは、親がやるべきことを「見える化」する方法を教え、計画的に物事を進める習慣を身につけさせます。私が監修した『はじめての子ども手帳』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を活用するのもおすすめです。
②精神年齢が高いか低いか
一般的に男の子は女の子よりも精神年齢が2~3歳低いと言われています。もちろん男の子にも精神年齢が高い子はいますが、少数です。
精神年齢が高い子は読書好きで知的好奇心が強い傾向があるので、学校の授業では物足りず、中学受験に向いている子も多いです。
逆に精神的に幼い子は、中学受験より高校受験のほうが成長のペースに適しているので、親はそこを見極める必要があります。
③ゲームとどうつき合うか
私の元には「子どもがゲームにハマって勉強をしない」という悩みが大変多く寄せられます。小学高学年から中学生の男子は大半がこの相談です。
中には、「動物園型」子育ての時期からゲーム&動画視聴させ放題にしていて、子どももそれが当たり前になっているケースもあります。
ゲーム問題に関しては後ほど詳しく述べますが、最初に親子でしっかりとルールを決めなければ、途中でゲームをやめさせることは難しくなります。
④ネット空間から子どもを守る
ゲーム問題と同じく、インターネットを子どもに自由に使わせる弊害によって起きる問題も少なくありません。
最近は小学生も、SNSやゲームを通じて犯罪に巻き込まれる事件が増えています。
これも、使用制限や有害サイトのブロックなど、親がやるべきことが多々あります。
サイバー空間はサバンナ以上に無法地帯ですから、ネットリテラシーを教えて子どもを守らなければいけません。
⑤ネットトラブルについて教える
スマホを利用している子どもは、個人情報の取扱いにも注意が必要です。
スマホがあれば写真や動画を撮るのも当たり前ですから、自分や友だちの写真や動画を勝手にSNSに投稿すると、個人情報流出になりトラブルを招きやすくなります。
チャットやSNSによるいじめや誹謗中傷の問題も跡を絶ちません。
親はそういったリスクを子どもに伝え、加害者や被害者にならないよう健全な使い方を教える必要もあります。
⑥教育虐待になっていないか
子どもに「あなたのため」とよく言う親は、1週間のスケジュールを勉強や習いごとでいっぱいにしているケースが目立ちます。動物園型から抜け出せない親にこの傾向が強いです。
子どもの許容量やレベルを超えているのに無理矢理やらせるのは「教育虐待」です。親のエゴで、子どもを潰してはいけません。
教育熱心な親ほど虐待と思わず暴走しがちなので、子どもの表情が暗く元気がないようであれば要注意です。
*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです(次回へ続く)。