1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。

【子育ての悪影響】自分が親にされて嫌だったことを子どもにしない方法Photo: Adobe Stock

「自分から勉強する子」に育つ3つの原則

 私の元へ寄せられる相談の中には、親の理想をずっと押しつけられて、小さい頃から勉強ばかりさせられたという大人からの悩みもあります。

 ある人は、親の希望通り医者になったものの自分には向いていないと痛感し、カウンセラーに相談したけれど、後戻りはできないので心の傷が癒えないと嘆いていました。大きな声では言えませんが、その相談者の周りでは、親の期待に応えて医者になった後、心を病んでしまっている人も多いそうです。

 子どもの人生にそんな悪影響を及ぼさないためにも、次の3つの原則を心に刻んでおきましょう。

原則①「監視」するのではなく「観察」する

 悪いことをしないように見張るのは「監視」です。子どもを監視すると欠点やできないことばかり目につき、怒ったり短所をいじったり、指示命令をしたくなります。

 一方、「観察」は子どもの自然な成長を客観的に見ることです。

 観察日記をつけるつもりで、子どもの様子や言動を注意深く見ていると、ささやかな成長や変化に冷静に気がつくようになります。

原則② 選択肢を与えるのは親。判断して決定するのは子ども

 子どもは知識も経験も足りませんし、先が見えません。

 そこでくり返しになりますが、親が選択肢を出してそれぞれの違いを説明し、子どもにどうしたいか判断させ決めさせます。

 この仕組みを子育てで習慣化し、自己判断力、自己決定力を高めていくとスムーズにステージを移行できるようになります。

原則③ 親がやらせたいことではなく、子どもがやりたいことを応援する

 子どもがやりたいことを応援してあげると自己肯定感が高まります。

 自己肯定感が上がるとその子の心が満たされ、今まで嫌だったことにも取り組みはじめる現象が起こります。

 かなり高い確率で勉強も自分からはじめるようになります。

*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです(次回へ続く)。