自分が犠牲になることは
損するばかりではない
前述したように、サービス精神旺盛な人は、ときとして、自分が少々損をしても相手のために動こうとします。
そういう人は、「自分がちょっとくらい犠牲になっても、まわりにいい結果が与えられるのなら、それでいいじゃないか」と思っているのです。
でも、犠牲になって損するばかりではありません。それを上回る恩恵を得ることだってあります。
苦労をいとわず、相手のために行動する人は、まわりの人から「あの人は人柄がよくて、思いやりにあふれた人だ」と好印象を持たれるからです。
当然、そんな人に対してむやみに警戒心を抱く人なんていないでしょうし、警戒心を抱かせない相手に対してはみな本音で接するようになります。
その結果、両者の関係はますます近づき、「ああ、あの人と出会えてよかった」「またあの人に会いたい」と思われるようになるのです。
こうした人間関係がいかに人生を充実させ、いざというときの助けになるかは、あらためていうまでもないことです。
サービス精神は自分に返ってくるのです。
ただし、そのサービス精神に損得勘定が潜んでいたら、たちまち見抜かれてしまいます。とくに組織のなかにおける人間関係では注意が必要です。
たとえばある人が、自分にとって大切なポジションについているときには、おべっかを使ったり、「ついていきます」という姿勢を示していたりしたのに、その人が異動したとたんにそっぽを向く人もいます。
どんな人間であれ、多かれ少なかれそういうことをやりながら生きているのかもしれませんが、あまりにも露骨にそのような行動をしている人を見ると、不愉快になります。