「利他の精神」が運動やビジネスのパフォーマンスを向上させる意外なかなか運動を習慣化できない人には、とっておきのマインドセット法がある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

運動習慣は健康面にメリットをもたらすが、運動を続けるのは意外と難しい。そんな人にお勧めなのが、利他の精神を持って運動をすること。運動を通して社会貢献ができるとしたら、運動に対するモチベーションアップや達成感アップにつながるはずだ。書籍『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』(ブラッド・スタルバーグ,スティーブ・マグネス著、ダイヤモンド社)を参考に、運動習慣と社会貢献を両立させるメリットを解説する。(文/フリーライター 鈴木 舞)

健康維持効果が高い
運動習慣の目安とは

 WHOが発表した『WHO身体活動・座位行動 ガイドライン』によると、18~64歳の成人の場合、運動によって死亡率低下が期待できるほか、高血圧や特定のがんの予防、2型糖尿病の発症の予防、睡眠の質向上や肥満改善につながると考えられている。運動がもたらす健康効果は、うつ症状の軽減や認知的な健康維持などメンタルにも及ぶという。

 WHOは成人に推奨される運動習慣として、次の(1)~(3)のいずれかの身体活動を挙げている。

(1)少なくとも週に150~300分は、中強度の有酸素性の運動を行うこと。
(2)少なくとも週に75~150分は、高強度の有酸素性の身体活動を行うこと。
(3)中強度と高強度の身体活動の組み合わせによる同等の量の身体活動を行うこと。

 ただし忙しいビジネスパーソンにとって、運動の習慣化は難しく感じられるかもしれない。WHOは「推奨量を満たしていない場合でも、ある程度の身体活動により健康効果が得られる」とも提言している。これまで運動していなかった人ならば、推奨レベルを達成できなくても仕方ない。身体の筋力や体力に応じて運動量や運動時間を調節し、徐々に運動の頻度や強度、持続時間を増やすことが理想的なのだ。

 一方でWHOは「座りっぱなしの時間を減らすべき」と提言。成人の場合は長時間の座りっぱなしが死亡率上昇に関連しており、心血管系疾患、がん、2型糖尿病の発症を招くおそれがあるからだ。