Mさんのマンション購入時期は
いつが最適?
では、Mさんがワンルームマンションを購入する時期を考えてみましょう。Mさんの希望時期は「2人いる孫がある程度の年齢になったら」とのこと。そこで今回は、お孫さんが10歳と8歳になる5年後(Mさんが65歳)に引っ越す前提で試算してみます。
さらに、二つ目のご質問と関連付けて、Mさんは65歳になった時点で仕事を辞めると仮定します。新居の購入と、シニアバイトからの引退を同じタイミングで行うわけですね。65歳になると公的年金を受給でき、資金繰りの計算が立つ点も踏まえてこの年齢にしました。
ただ詳細は分かりかねますが、受給予定なのは老齢基礎年金だけのようです。それでも、60歳というMさんの現年齢を考慮すれば、月5万円(年間60万円)程度は受給できるはずです。
そうなると、Mさんの65歳以降の収入は、亡くなったご主人の遺族厚生年金15万円、ご自身の老齢基礎年金5万円の合計20万円。年間では240万円です。そこから健康保険料などが差し引かれるため、手取りの年収は230万円とします。
一方の年間支出ですが、娘さんの浪費癖が改善されない限り、Mさんが引っ越してもお孫さんへの援助は継続せざるを得ない気がします。もしかすると、転居に合わせて金銭的支援もおしまいにする方向で検討中かもしれませんが、その通りになるかは分からないため、今回は厳しめに試算します。
このため年間支出は、Mさんがワンルームマンションに引っ越しても270万円のまま変わらないことにします。年間収入230万円、年間支出270万円ですから年間40万円の赤字です。
とはいえ、Mさんは現時点で計8500万円もの金融資産をお持ちです(投資信託の運用益は考慮していません)。ワンルームマンションの価格によっても変わってきますが、よほど高額な物件を買わない限りは、65歳で家を買っても老後の家計は安泰でしょう。
何しろ、4000万円の物件を買い、65歳時点の金融資産が4500万円に減ったとしても、理論上はあと112.5年(4500万円÷40万円)持ちこたえられる計算です。
ただし、お孫さんが中学校や高校(もしくは大学)へ進学したときや、成人したとき、ご結婚されたときなど、節目、節目でMさんは援助を行うことでしょう。その金額を少し多めに見積もり、1人当たり計500万円(2人分なので計1000万円)とします。
加えてMさんご自身も、定年退職後に旅行などのレジャーを楽しむかもしれません。また、ワンルームマンションの家電を買い替えたり、新しいペットを迎えたり、車を買い替えたりするかもしれません。あるいは医療費など、もしもの時に支出を余儀なくされる可能性もあります。こうした予備資金として、合計1500万円を見ておきましょう。
1500万円は多いのでは?と思われるかもしれませんが、「人生100年時代」を考えると、65歳でお仕事を引退してからの人生も長く、何があるかは分かりません。年換算すると決して多額という訳でもありません。