コツコツと業績を伸ばしてきた経営者が直面する「売上の壁」。
特に、年間の売上高が2億円から3億円のレベルに達すると、そこでピタッと成長が止まってしまう経営者が多いという。
そんなときに参考になるのが、【発売から18年、2万人以上の経営者に支持されるバイブル】として、待望の新装版が発売された『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』だ。
本稿では、上場経験のある経営者から熱烈な推薦を受けている本書の中から、「なぜ、経営者は伸び悩んでしまうのか」を一部抜粋して紹介する。
「担当は社長じゃないと困る」と言われたら?
もうひとつ、チェックして欲しいものがあります。それは現時点での顧客リスト。売上2億円というレベルでは、顧客のほとんどがいわゆる社長の人脈で占められていることが多々あります。要するに社長が直接知っている方と、その方々を介しての紹介客です。広がりがあると言っても、地元の商工会議所や何かのセミナーで知り合ったお客様にまで手を広げているくらいでしょうか。
経営の視点から言えば、紹介客は営業コストが少なくて済みますから、その割合が多いのは嬉しいこと。
ただ問題はそれが社長個人の人脈だ、ということなのです。こういった義理人情系の人脈による紹介ルートには、構造上の限界があります。「ウチを担当してくれるのは社長じゃなきゃ困る」などと言われてしまい、営業マンの代替がきかないことです。
お得意様のご要望ですし……ということで、そう言われるとやはり社長自身が出て行くことになります。
このジレンマを打開しようとして営業マンの社員を社長人脈系の顧客担当にしようとしても、なかなかうまくいきません。上手に引き継げないのです。
社長の顧客の「思いがけないリスク」
まず1つ目の理由は、自社と顧客とを結んでいるものが商品力や企業のブランド力ではなく、個人的な人間関係だからです。商品がどうのこうのではなく、誰が担当か、が問題視されているのであれば、そもそも他の人が対応しても無駄です。余人をもって代え難い、と言うのは簡単で気持ちいいのですが、社長がそれに忙殺されているのは本末転倒。こんな関係ばかりで営業が成り立っているのなら、いくら人が増えても関係ありません。
理由の2つ目は、営業マンとしてのレベルの違い。やはり社員の営業マンは社長ほど経験もありませんし、得意先の好みも分かりません。カンがそれほど働くわけでもありませんから、普通に見れば十分な対応をしていたとしても、結果としてクレームが入ることが多くなります。
クレームを処理するためにまた社長が出動して、あれこれとやっていると、結局は同じこと。かえってクレーム処理の方に時間を割かれたりします。
いずれも構造的な問題。そして原因は社長が現場の第一線で活躍しているから、という逆説です。
自分がいないとお客様が満足してくれない、部下にはまだまだ任せられない……と思っているなら、2億円が限界。それは「会社≒自分」であって、先ほどの例で言えば、完璧な一人芝居になっていることがお分かりでしょうか。
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ここに紹介したことのほか、『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』では、経営者が企業の成長のために考えるべき「設計図」とは何かをコンパクトに紹介しています。ぜひ参考にしてください。