営業日報を月単位で分析
営業活動と売り上げの相関を可視化
Domoの使いどころはいろいろありそうだ。男成さんは自身の営業経験から、まずは営業よりも、営業向けにデータを加工したり、実績をまとめたりしている部署の業務を効率化できそうだと考えた。高度なグラフ作成の効率化に加え、データを指定の時間に配信するといったタスクの自動化に成功した。
次に目を付けたのは、営業日報だ。これまでの日報は、一人の営業の一日の活動を把握するために運用されていた。しかし、基本的に売り上げは月間で立っている。営業ひとりひとりの一日を点で見ていても、営業部全体として1カ月でどんな活動をし、どんな成果を上げているのか見えてこなかった。
日報の内容を時系列でデータ化することで、営業リソースや改善すべき点が明確になった。残業時間はもちろん、「急に店舗訪問の時間が増えたね、回れる店が増えた?」「最近、外回りができてないね。商談資料はたくさん作っているけど何か困っていることはない?」といったように、現場のマネージャーが異常値に気付き、早い段階で手を打ちやすくなった。
中でもマネージャーたちの心をつかんだのは、営業活動と売り上げの相関を示したデータだ。提案数を増やすと本当に売り上げは上がるのか、バブルチャートで表した。
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「提案数を増やしても売り上げが上がらないとしたら、売れない理由は他にあるということ。営業リソースをどこに投下すべきか判断をサポートしてくれるんです。それは今までは経験を基に判断していましたが、経験ってまずは積まないといけませんよね。暗黙知が形式知化されると、たとえ経験が少なくても数字で議論できるようになります」
営業は、ともすれば根性論に陥りがちだ。しかし、データが努力の方向性を示し、成果につながりにくい努力も可視化できれば、スパッと諦めて次へ行く勇気を持てる。
ところで、一般に「日報って書く意味あるの?」と感じている営業は少なくないだろう。上司に口頭で報告すれば済むところ、わざわざ入力させられ、役立てている様子もない。入力されなくて本当に困っているのは営業部ではなく、せっかく導入したシステムが活用されないシステム提供側といった構図だ。
「日報がデータ化され、フィードバックや改善に使われるのだと営業のみんなが認識するようになると、入力率が上がってきました。日報を入力しないと困るのは直属のマネージャーで、自分の営業活動にも不利益が生じる可能性があります。データって、作る人と受け取る人がうまく影響しあって初めて意味を持つんだなと、つくづく実感しました」