秦剛の失踪・失脚は今後の米中関係に
どう影響するのか
秦剛が姿を消して1カ月が経ち、一部の評論家は「彼が元気な姿を見せることはもうないのではないか」と書くようになった。
だが、実際には彼の「不在」が影響し、中国とアメリカにとって、予想外の事態に発展しつつあるという指摘もある。今の中国は紆余曲折の末、6月にやっとのことでブリンケン米国務長官の訪中を実現させ、それに続いてイエレン財務長官も、という流れの真っ最中にある。その先には、年内の習近平訪米があり、ほぼ両国首脳の間では合意ができているとされ、秦剛はその立役者だったといわれている。その彼が何の兆候もないまま突然姿を消し、失脚したことは、米国のみならず世界中に困惑をもたらしている。
彼の罷免を告げる新華社の報道では、その理由が汚職だと思わせる文言が続いていたが、具体的な罷免理由は書かれていない。
中国政府は今後、秦剛の失踪と罷免をいかにネガティブ要素とすることなく「習近平訪米」へとコマを進めていくのか。あるいは、再び「戦狼外交」ぶりを発揮するのか、それとも米国がへそを曲げて習訪米は中止になるのか……今後もしばらくは、中国ウオッチャーたちはかしましく議論を続けることになるのだろう。