ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
外向性は「スキル」として持っておくと便利
読者からの質問 内向型の人は、外向性が求められる場面でどのようなアクションをとるべきでしょうか? 無理して外向的にふるまう必要はあるのでしょうか?
ジル・チャン氏 内向型とひとくちに言っても、「内向型80%:外向型20%」や「内向型60%:外向型40%」という形で外向性も持ち合わせている人がほとんどです。なので、TPOに応じて、「内向的な自分」と「外向的な自分」を使い分けるのがベストだと思います。
というのも、ビジネスの世界で人間関係を築いていくには、内向的なだけでは人と打ち解けるのは難しいですし、逆に外向的なふるまいだけを押し通しても、相手と適切な距離をとることができないからです。
つまり、社会人としてうまく立ち回るには、無理のない範囲で内向性と外向性のバランスを取る必要があるということです。
「私は内向型だから積極的な発言はできない」と決めつけることなく、時には思い切って会話に参加したり、会議で発言したりしてみてください。そうすると、「意外と自分にも外向的な面があるかも」と新たな発見があるかもしれませんよ。
「人前でうまく話せる」たった1つの方法
チャン氏 「静かな人」の武器の1つに「観察力」がありますが、「外向型」の人のふるまいをよく観察して、自分にも実践できそうなスキルは真似できるようにしておくことが大事です。このスキルというのは、スマホの「アプリ」みたいなものだと考えてください。いつでも使えるように自分の中にインストールしておいて、必要に応じて活用すればいいんです。
たとえば人前で話すのがうまい人を見ていると、「最初に失敗談でリラックスした空気をつくっているな」とか、「意外とゆっくり話すんだな」「背筋が伸びていて、自信がありそうに見えるな」など、さまざまな発見があると思います。
そうした部分をよく観察して、必要なときは自分の中の「アプリ」をオンにして、そのまま使ってみるんです。必要に応じて、外向型に「なりきる」という感覚です。
逆に、外向型の人も、内向型の人から「相手の話を傾聴すべきタイミング」や「周囲への気の配り方」を学んでいます。
「内向性/外向性」をうまく使い分けられるようになれば、人前でも臆せず話せるようになりますよ。