最新技術は球界でも革新を起こしている

 野球では、複数台のカメラの映像から物体をミリ単位で捉える技術で、ボールの回転軸、回転数、軌道や変化率に加えて、選手の姿勢や骨格情報などを動体力学的な観点で追ってプレーデータを取得するサービスも提供しています。『SkeleTRACK(スケルトラック)』と呼んでいる技術なのですが、2020年から、メジャーリーグベースボール(以下、MLB)の全30球場でこのサービスを導入していただいており、日本ではヤクルトスワローズなどで使われています。

ボールの回転数やリリースポイントなど1球ずつに対しての様々なデータの取得が可能になったボールの回転数やリリースポイントなど1球ずつに対しての様々なデータの取得が可能になった 画像:『スポーツビジネス最前線』

――選手側もどういうふうに投げれば、どういうボールが投げられるのかという“投球術”の観点でいろいろ試されていると思うのですが、“こういうボールが投げたい、こういう回転をさせたいのだけれど、なかなか上手くいかない”ということもあると思います。そういう意味ではこうしたデータがあると助けになるのではないかと思えます。

 我々の強みはいわゆる“試合の状況”の球が見られるということなんです。世間にはいろいろなレーダーやデバイスがありますので、皆さんも練習場やブルペンではいろいろなものを使っていろいろなデータを取っていますが、やはり試合の時とは違うのだという話を聞きますので、そこに価値があると思っています。

 また“データをいかに楽しんでいただくか”という点が出てきています。たとえばMLBでは、ほぼすべてのデータが開示されています。2021年のデータでは、大谷翔平選手の打球速度はメジャーリーグ随一でした。スイング角度や打球の角度、飛距離であったり、またピッチャーの球速をはじめとした様々なデータもすべてMLBにお渡ししていますが、リアルタイムで提出したり、翌日公表したりなど、ファンの心を掴むためにいろいろとデータの出し方もMLB側で工夫をしています。