エヌビディア AI王者と台湾の黒子#7写真:財訊

スマート工場の実現は世界の製造業のトレンドだ。AIロボット市場は大きな可能性を秘めている。この分野で米半導体大手エヌビディアと緊密に連携する台湾企業には明るい未来が待っている。特集『エヌビディア AI王者と台湾の黒子』(全7回)の最終回では、エヌビディア創業者ジェンスン・フアン氏“お気に入り”のAIロボットを製造する台湾企業の正体に迫る。(台湾「財訊」 尚清林、翻訳・再編集/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

エヌビディアの動画に登場した
AIロボット製造で株価上昇

 米半導体大手エヌビディアの公式ホームページには、工場での生産効率を高めてくれるAIロボットを紹介する1分半の動画が公開されている。そして、動画に登場するロボットを製造したのは、台湾の広明光電(クアンタ・ストレージ)傘下のテックマン・ロボット(達明機器人)だ。

 鋭い投資家たちはすぐに大きなビジネスチャンスを感じ取り、5~6月に台北市で開催された国際展示会「COMPUTEX」の期間中、広明の株価は繰り返し70台湾ドル台に達し、10年以上ぶりの新高値を更新した(ダイヤモンド編集部注:7月31日の終値は107.5台湾ドル)。広明の売上高に占めるテックマンの割合は約12%にすぎないが、それでも投資家は広明の株を買い続けている。

 広明の担当者は、エヌビディアの創業者であるジェンスン・フアン氏が講演で、「世界中の何千万もの工場がスマートファクトリーを実現したいならば、その前提としてAIロボットが大量に必要になる」と述べたことを指摘した。そして現在、エヌビディアと緊密に連携するテックマンは、かなりの可能性を秘めている。

 業界が関心を持っているのは、広明がどうやってCDプレーヤー工場からハードディスクメーカーへと転身し、今度はAIロボットメーカーに変貌したのかということだ。広明の変革の立役者は、広明とテックマンの董事長の何世池氏だ。