頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
「非合理の合理」とは
本書第4章では、これまで因数分解の重要性や仮説思考などを話してきた。
印象として私のことを、「100%左脳で合理的にやるべき」という主張の人間に感じたかもしれないが、実はそうではない。
最近実感しているのは、様々な経営者との出会いによってビジネスが広がっていくことだ。
こういう巡り合いは合理的に考えて実現できることではない。
たまたま飲み会で隣の席になった方の企業と事業の親和性があり、仕事につながったこともある。
経営者同士の会合は、成果が事前にわからないという意味では一見非合理だが、そのほうが結果的に合理的であることが世の中にはある。
ファンド時代は、よく投資先企業の方と飲んでいた。
26歳の若手が人生の先輩に向かって、仕事だから仕方ないとはいえ、いろいろ指摘をしなければならないことは多かった。
ファンドは株主という立場なので、強く言い続ければ表面的には私の提案に従う行動を取ってもらえたとは思う。
しかし、個人として信頼されておらず、一緒に頑張ろうという気持ちになれなければ、人はすぐに動かなくなってしまうし、なによりアウトプットの質が圧倒的に下がる。
この経験を通じて、飲食を共にし、人との信頼関係を築くことがなにより大事だと感じた。
もちろん飲みニケーションがすべてを解決するわけではないが、直接的な業務以外の場で互いを知る機会があることはとても大切に思う。
逆にいえば、共通のゴールに向かって信頼関係を持ちながら進んでいれば、詳細な提言をしなくても、よいアウトプットができるものだ。
いろいろな手段がある中で、時には「非合理の合理」を考えてみよう。
地下にある隠された道
「非合理の合理」とは一見合理的でないことが、実は合理的であるということだ。
目的を達成するために合理的に考えると、A地点からB地点までの一本道を通るのがよさそうだが、脇道に逸れても目的に早くたどり着ければいい。
道路ではなくヘリコプターを使っても、地下にある隠された道を通ってもいい。
生真面目な人ほど、合理を小さな枠で考えがちだ。
入社早々から、会社のイベントや飲み会にまったく顔を出さず、その時間は勉強していたほうが合理的と考える人もいるかもしれない。
一方で、職場のメンバーと話しやすくなっておけば、いざトラブルが起きたときにスムーズに対応できる、と考えればそれは合理的といえるかもしれない。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)