コツコツと業績を伸ばしてきた経営者が直面する「売上の壁」。
特に、年間の売上高が2億円から3億円のレベルに達すると、そこでピタッと成長が止まってしまう経営者が多いという。
そんなときに参考になるのが、【発売から18年、2万人以上の経営者に支持されるバイブル】として、待望の新装版が発売された『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』だ。
本稿では、上場経験のある経営者から熱烈な推薦を受けている本書の中から、「伸びる経営者だけが考えていること」を一部抜粋して紹介する。
「できる自分」を基準にしてはいけない
平均的な社員が持っている能力は社長の約30%だ、と言いました。それだけの能力、経験、スキルしかない状態では、すべてをこなすことなんてできるわけがない、と思いませんか? そうなのです、無理です。無理にもかかわらず、任せてきてしまったのです。育つ育たない、の前にこなすことがまずできません。
私はコンサルティングを始める際、このステップをまずは認識してもらいます。そしてその後にクライアントのマーケティングステップを詳細に分解し、組織と個人とで分業をしていく仕組みを組み立てていきます。
分業ですから一人ひとりの社員が担当するのはこの流れの一部分だけ、になるようにプランニングします。もちろん、パートごとの作業内容もキッチリと整理するのは当然です。「営業」という名前で括られてはいるものの、分かったようで実は分からなかった業務の具体的な内容を、誰にでも理解できて、かつ実施できるような作業に翻訳していきます。
またそれぞれのステップごとに、それは営業マン(社員)がやることなのか、会社(組織)がやることなのかをハッキリと分けます。これが非常に大きな効果を生む仕掛けになります。マーケティングをより効率的にするコツです。
「自分の30%」の社員にも、その作業はできるか?
このポイントは分かりにくいので、少し丁寧に説明しましょう。マーケティングという大きな流れをいくつかのステップに分解してみると、個人としての社員がすべてをやる必要がないステップがあることが分かってきます。
例えば常識的に考えられているのと違って、個人が担当する必要がないのは「集客」のステップです。「え、お客様を捕まえてくるのは営業マンの役目では……」と思われているようですが、そうではありません。集客は組織の仕事になります。
ご自分が何かを買ったときの経験を思い出してください。初めてクルマを買ったときなどが典型的です。クルマを買うにいたったプロセスの「最初」に営業マンがいたことがあったでしょうか? もっと具体的に質問すれば、営業マンが誰か、によって資料を取り寄せたりすることを決めたことがあったでしょうか?
答えはほとんどがNO。買うか買わないかの判断をするとき(いわゆる商談時)や、買った後のアフターサービスのステップでは、営業マンが誰か、どんな対応をしてくれたかによって結果が大きく左右されます。しかし最初にちょっと欲しいかな、と思ったタイミングでは、営業マン個人の資質はさほど関係ないのです。広告や、TVや新聞、SNSなどで商品が紹介されていたりして、商品自体の情報に反応していたのです。
つまり、マーケティングの流れにおけるスタートである集客、見込み客リスト集めは、営業マン個人がやるべき仕事ではありません。にもかかわらずそれを営業マン各自に押しつけてしまう社長が多すぎるのです。それは会社の仕事。リストを集めるのは会社の仕事なのです。
(次回へ続く)
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ここに紹介したことのほか、『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』では、経営者が企業の成長のために考えるべき「設計図」とは何かをコンパクトに紹介しています。ぜひ参考にしてください。