もっと自分で考えて動いてほしいのに、細かく指示を出さないと動いてくれない部下。どうすれば、率先して動いてくれるようになるのだろうか?
そんな悩みがある管理職・マネージャー層にぜひ読んでもらいたいのが、『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。優秀なビジネスパーソンに共通する思考アルゴリズムが、見事に解説されている。
著者は、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏。ベストセラーとなっている本書は、多くの経営者やビジネスパーソンから評判の一冊だ。
そこで、本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回、本書を読み解くのは、企業現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント・横山信弘氏だ。最新刊『キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』や衝撃のデビュー作『絶対達成する部下の育て方』などのベストセラー作家でもある横山氏は、『時間最短化、成果最大化の法則』をどう読み解いたのか。連載6回目は、「部下の積極性をうながす方法」をテーマに話を聞いた。(構成・川代紗生)

ミーティングPhoto: Adobe Stock

「でしゃばってると思われるのでは…」
コミュニケーションのズレを解消する2つの方法

──「よかったら、私がやっておきましょうか?」など、自分から提案してくれる部下・後輩は、上司にとって、とてもありがたい存在ですよね。

 ただ、なかには、提案したいアイデアがあるものの「余計なことを言って、でしゃばってると思われるんじゃないか」「的外れな意見かもしれない」という不安がある……という人もいるのではないかと思います。

横山信弘(以下、横山):そうですね。上司に提案したいけど、言い出しにくいという人もいると思います。

──このようなコミュニケーションのズレを解消し、積極的に提案してくれる部下を育てるにはどうすればいいでしょうか?

横山:ポイントは、大きく分けて2つあると思っています。

 1つは、「やり方」よりも「あり方」を共有することです。

──「やり方」よりも「あり方」?

横山:はい。「あり方」とは、その仕事の最終形、あるべき姿、目的地のことです。

 「あり方」は1つしかありませんが、その「あり方」にたどり着く「やり方」は無数にある。目標さえ達成できれば、どんな「やり方」を選んでもいいわけです。

 部下や後輩が、「でしゃばってると思われるんじゃないか」と不安になってしまうのは、もしかすると、上司が日頃から「やり方」ばかりを指摘しているからかもしれません。

 仕事の「目的」がわからないまま「手段」だけをあれこれ指示され、ダメ出しされる状況が続くと、上司に言われた以上のことにチャレンジしよう、という気持ちはなくなってしまいますよね。

「最終目的逆算思考」の3ステップ

横山:時間最短化、成果最大化の法則』の中にも、最終的にどうなりたいかから逆算して考える「最終目的逆算思考」があります。

「最終目的逆算思考」の3ステップ
1.「結局、何がどうなりさえすればいいか」という最終目的を特定する
2.最終目的を達成する方法を探す
3.実現させるために最も簡単な方法を選ぶ

 この3ステップにあるように、「結局、何がどうなりさえすればいいか」を、チームに共有すること。

 たとえば、「今回の企画書は、何がなんでも通したい。だから、いいアイデアがあれば遠慮なく言ってくれ」と、自分の本気度を伝えておくなど、伝え方の工夫が必要だと思います。

 上司がどこを目指しているのかさえわかっていれば、部下も、「期限までに目標達成するのは厳しいと思うので、追加でこれをやってみたいのですが、いいでしょうか?」など、提案しやすいですよね。

──たしかに、仕事に追われているときほど、「やり方」ばかり指示して、「あり方」の説明をおざなりにしてしまいがちですよね……。

「任せる癖」と「任せてもらう癖」

──さて、もう1つのポイントは何でしょうか?

横山:部下が「これ、どうでしょうか?」と提案してくれたときに、「本当に助かる!」と、きちんと伝えることですね。

 とくに、知り合ってすぐの頃など、関係性が浅いときほど、はっきりと言葉にしたほうがいいと思います。

 上司に何かを提案するのって、やっぱり最初が一番緊張するし、勇気がいるじゃないですか。

──そうですね、上司が部署にやってきたばかりのときなどは、相手の人柄がわからなくて、顔色を伺ってしまうかも。

横山:勇気を出して言ってみたときに、「ありがとう。助かるよ」とひとこと返ってくるだけでも、「あっ、言っていいんだ!」と、安心できますよね。

──逆に、一発目で「そんなこといいからさっさと仕事してくれよ」みたいなこと言われたら、心が完全に折れますよね。

横山:関係性が浅い時期ほど、些細なことであっても、「提案してくれて助かるよ」という言葉をかけておく。

 そうすると、本当に困ったときに「やりましょうか?」と提案してくれるようになるので。

 いずれにせよ、「任せる癖」と「任せてもらう癖」を、なるべく早めにつけておくことですね。もちろん、最初のうちはうまく意思疎通できないこともあると思いますが、繰り返すうちに、どんどん慣れてくると思います。

 そうすると、部下も「見通し」を立てるのがうまくなり、ビジネスパーソンとして成長していくので、お互いにとっていい関係を築けるようになるはず。

 さきほどお話しした「最終目的逆算思考」の3ステップなども駆使しながら、いいチームを作っていけるといいですね!

【私がやりましょうか?】指示がなくても動ける部下の育て方・ベスト2
横山信弘
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成する部下の育て方』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。