キャリアの基本となる4類型

 未来を見据えるときに非常に重要なのが、図4‐2のキャリアの4類型だ。それぞれの類型は、横が自身が発揮できる能力の「広さ」、縦が特定領域での能力の「深さ」を指す。

図4-2 キャリアの4類型 出所:エッグフォワード作成(『キャリアづくりの教科書』P.215より転載)図4-2 キャリアの4類型 出所:エッグフォワード作成(『キャリアづくりの教科書』P.215より転載) 拡大画像表示

・I型
 I型人材は、「人事一筋」「エンジニア一筋」「研究開発一筋」のように、単一の職種をずっと深掘りすることで、その分野のテクニカルスキルと経験を蓄積している人材だ。

 特定領域で希少性を持っているのは素晴らしい。ただ、注意が必要なのは、その特定領域がどの程度求められるかという「市場性」が、時代によって変わりうることだ。たとえばそのスキルを持つ人材そのものがテクノロジーによって代替された途端に、急激に市場価値が下がる懸念がある。

・T型
 T型人材は、「一定の幅広い経験に基づく能力」に加えて、「単一の特定領域で深い専門性を持つ」人材だ。

 たとえば、営業経験を長く積んで深い専門性を身につけるとともに、営業「企画」や営業「戦略」といった隣接領域でも幅広い経験を積んだ人。

 営業プレイヤーとしての深い専門スキルに加えて、どの業務でも幅広く通用する組織マネジメント経験を積んだパターン、あるいはアライアンスや折衝など周辺領域で価値を出せるだけの幅広さを有しているパターンなどもこのT型に該当する。

・H型
 H型人材は、「幅広い経験に基づく能力」に加えて、「複数の特定領域で深い専門性を持つ」人材だ。たとえば、前述の営業の深い専門性に加え、コーポレート・人事などの、営業とは異なる領域においても深い専門性を持ち、双方の能力が希少と言えるまでに高く、かつ双方の能力を掛け合わせて価値を発揮できるパターン。

 開発業務において、フロントエンドからバックエンドまで幅広く担当できるエンジニアのことをフルスタックエンジニアと呼ぶが、双方が希少なレベルであれば、これも一種のH型ともいえる。プレイヤーとしてフロント・エンドの開発もでき、全体像が見えているため運用・保守・アップデートなどまで一手に引き受けられるため価値が高い。

 他の職種で隣接領域の例を挙げれば、営業なら「戦略」と「実行」、マーケティングなら「オフライン」と「オンライン」、コンサルなら「戦略系」と「再生系」といった具合で、隣接しつつも求められる能力が異なる領域を両方担当できれば、希少性が増すことは理解してもらえるだろう。