中国経済のデフレ傾向が
日本にも影響し始めている

 中国経済は今、深刻な景気後退の危機にあります。きっかけの一つが、不動産バブルの崩壊です。これまで中国の景気をけん引してきたのが富裕層の消費で、その富裕層の収入源だったのが不動産投資での成功でした。その黄金の方程式が不動産価格の下落で崩れてしまい、国内の内需が縮小しはじめているのです。

 その結果、中国企業による製品の投げ売りが始まっています。統計に表れるニュースとしては中国による鉄鋼の輸出数量が増加する一方で、輸出金額が大幅に減少しているという話があります。

 それを裏付けるかのように、アメリカ当局は缶材料に使うブリキがダンピングされているとしてカナダ、ドイツ、中国に対して高関税をかけると表明しました。問題はその関税率で、カナダは約5%、ドイツは約7%なのに対して、中国からのブリキには約123%、つまり倍以上の関税がかかります。

 このニュースを裏読みすれば、やはり中国の工業製品は国内の需要不足から急激に輸出価格が下落していると見るべきです。

 中国では、ちょうど30年前に日本が不動産バブル崩壊でデフレ経済へと突入したのと同じような経済環境が訪れています。専門家が恐れるのが、中国経済がデフレに陥ることなのですが、どうもそれが起き始めている予兆があるのです。

 そのことが間接的に、たとえば私たちがニトリで購入する日用品がこれまで以上にお値打ちになるという現象に影響をしているとすれば、短期的には良いことですが、長期的には日本経済もそのあおりを受けるかもしれません。

 また、輸入価格が下がったとはいっても国内店舗の人件費や光熱費、物流のガソリンや軽油代はインフレ基調にあるわけなので、目先の値下げ傾向が今後も継続するかどうかは不透明です。

 さて、このように2通りの種類があるこの夏の値下げですが、私たちはどのようにすればよいのでしょうか。

 値下げの理由が話題作りだったとしても、中国であったとしても、どちらにしても今は少しでも生活を楽にする意味では、そのトレンドに乗っかったほうが得策だと私は思います。

 この先、実はそれほど値下げ要因になりそうな経済の兆しはありません。今、目先にあるお得にはまず飛びつく。そういう時代なのだと私は考えています。