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プレイステーション4はビジネスになるのか?
「家庭用ゲーム機終了説」を検証する

石島照代 [ジャーナリスト]
【第36回】 2013年3月5日
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家庭用ゲームソフトの世界市場推測規模は
1兆6500~1兆2000億円

 米国市場の状況が100億米ドル規模であることと、ハードのボーダレス化が進行していることが確認できたところで、次は米国を含む世界主要国の家庭用ゲームソフトビジネスの世界市場規模を推測してみたい。

 下記の表は、2011年度の日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリア、オランダ、スイス、北欧などの家庭用ゲーム市場を持つ国のゲームソフトウェア市場規模(出典2012CESAゲーム白書、DLCは含まない)である(イギリスのみ家庭用・PC用の合算だが、PC用ソフトの影響は微少。各通貨レートは2011年12月30日現在。米ドル=77.74円、英ポンド=119.81円、ユーロ=100.71円、スイスフラン=82.69円)。

 ところで、任天堂が1月末に実施した2012年度第3四半期決算説明会の発表データを見ると、米国のソフト販売本数は米国が前年度比で23%下落している。欧州に関しての言及はないが、掲載されたデータを見ると欧州も同程度下落していることから、このデータを元に日本をのぞいたすべての国の数字から23%を引いて直近のレートで計算したものの比較が下記グラフ(左が2011年、中央が2012年推測値)になる。

 2割以上減少しているにもかかわらず、2012年度の推測値がさほど低下していないのは、為替レートの影響である。2011年度の米ドルは77円74銭で計算されているが、2012年度の予測は90円で計算している。この13円差の影響は大きい。たとえば、任天堂は平成25年3月第3四半期決算において58億円の営業損益を発表する一方、為替差益を222億円(1ドル90円換算)も計上している。このことからも、円高は日本のゲーム業界にも無視できない影響を与えていることが分かる。

 ただし、ここまでのデータはパッケージ用のみの話である。そこで、2012年度の推測値に、米国(2012年推測値の3割)とドイツのDLCの2011年度の売上(233百万ユーロ、CESA調査)を加算したのが、右のグラフとなる。他国は金融不安の影響もあり、日本を含めDLC増加分はパッケージ用の市場縮小で相殺されるという判断で手を加えていない。

 この状況に、今回のCESA調査には含まれていないフランスのデータ(ドイツと同規模)と下ぶれリスクを加えると、現在の主要国のゲームソフトの市場規模は1兆6500~1兆2000億円と推測できる。日本はいわゆるソーシャルゲームが隆盛かもしれないが、世界市場を包括的に見た場合、ソニーの「プレイステーション4」に限らず、家庭用ゲーム専用機ビジネスはまだ十分成立する余地があるといえるだろう。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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