頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人たちに話題となっているのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書 TOPPOINT大賞2023上半期ベスト10冊」に選抜された本だ。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書でもある。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
「キャズム理論」とは?
「キャズム理論」というものがある(下記図表)。
これは、イノベーター理論におけるイノベーターとアーリーアダプターを初期市場、アーリーマジョリティからラガードをメインストリーム市場とすると、両者の間には「キャズム」と呼ばれる深い溝(市場に製品やサービスを普及させる際に超えるべき障害)がある。
この溝を超えることが市場開拓において重要だとする理論だ。
キャズムが発生する原因は、初期市場とメインストリーム市場、それぞれのお客様の価値観の違いにある。
初期市場のお客様にとって「新しさ」というのは魅力の一つだが、メインストリーム市場では、新しいだけではお客様を開拓できない。
信頼して使えるモノなのか、他にも使用している人はいるのかなど「安心感」を求める。
キャズムを超えるために大切なこと
キャズムを超えるには信用訴求、品質訴求のためのコンテンツづくりが必要となる。
イノベーター層やアーリーアダプター層には、企業がいい製品をしっかり出せば自ら調べて購入する人もいる。
ただマジョリティ層、つまり将来の潜在層を今後買ってもらえる顕在層に変えていくには、企業努力で認知度を上げていくことも必要である。
認知度の身近な例として、アマゾンやスイカがある。
これらは、日本で導入されて約20年が経つ。
これらの名前は特殊なブランド名ではなく、かつてアマゾンといえば熱帯雨林だったし、スイカといえば夏の果物だった。それにもかかわらず、これほど一般的な言葉が人々のイメージを変えてしまうのはすごいことである。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)