英語をたくさん勉強したのに、いざとなると全く言葉が出てこない――そんな人に読んでほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」を鍛えることができる。実践的なスピーキング力を養うための最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「スキマ時間を使って効率よく英語力をアップする学習法」について話を聞いた。
(1)時間の大切さを知る
――毎日忙しく働く人にとって、英語学習に割く時間を確保することは難しいです。英語を話せるようになる人は、どのように時間を使っているのでしょうか?
森秀夫(以下、森):たとえ話ですが、ある銀行が、毎日あなたの口座へ、86,400円振り込んでくれるとします。しかしその日の終わりには、使い切らなかった金額は消えてしまいます。そのような状況では、あなたはどうしますか?
――当然、お金をすべて口座から引き出して使おうとしますよね。
そうですよね。これはお金の話ですが、時間の大切さを伝えるために考えられたお話の一部です。つまり、私たちに毎日与えられている時間のことなのです。
86,400秒という時間は、何もしなくても過ぎてしまい二度と戻っては来ません。時間があると思っていてもボッーと何もしなかったら、あっという間に時間はなくなってしまいます。時間を意識して有効に使うことが大切なのです。
特に働いていると、残業や付き合いなども増えてくるので、思うように学習時間の確保ができなくなってきます。
そこでスキマ時間の活用が必要になってくるのです。
(2)スキマ時間を活用する
――例えば、どのようにスキマ時間を使えるでしょうか?
森:まず、1日のスケジュールの中で、どこにスキマ時間があるか書き出してみてください。
例えば、家から駅までの移動時間(15分)、朝の電車での通勤時間(20分)、昼休み(20分)、帰りの電車での通勤時間(20分)、駅から家までの移動時間(15分)、お風呂の後(30分)など、スキマ時間がありますね。
すべて合わせると120分も確保できるのです。
――120分も確保できるなんて、スキマ時間の威力ですね。
森:このスキマ時間の120分をこんなふうに活用してみるのはいかがでしょうか。
まず、家から駅まで歩いている15分の間にはスマホアプリで英会話を聴きます。
通勤電車の20分間では、先ほどスマホで聞いた英会話から、キーセンテンスを1つ覚え、そのキーセンテンスを利用して、自分を主語に置き換えた文章を作ってみます。
昼休みと帰りの通勤時間では、朝の通勤時間に学習した英会話の復習をします。同時に、学んだ表現を使って、夜のオンライン英会話で話したい内容を手帳に簡単に書き込みます。
お風呂の後の時間では、オンライン英会話を受けます。
(3)学んだ表現をその日のうちに使う
――学んだ表現を自分で使いこなすことが難しいのですが、どのようにすれば、使いこなせるようになると思いますか?
森:例えば、本書にA: What do you think? B:You look great in that dress.という場面が出てきます。この表現を学んだと仮定して、オンライン英会話でのあいさつの後、What do you think of my T-shirt? などと質問して、You look nice in that. などの表現を引き出してみるのです。
また、その後に自分も、You look great in that dress.と言ってみるのです。
ここで注意したいことは、あまり神経質に正確さを求めるのではなく、伝わっているかどうかを試すのです。覚えた表現を使ってみて初めて、自分の英語が伝わるかどうか試せるのです。
覚えた表現をその日のうちに繰り返し使うことが大切です。このことを習慣づけることが英会話力向上の秘訣だと言えます。