トヨタが22年10月にBYDとの提携EVの第1弾として中国で発表したセダン型EV「bZ3」では、BYDのリン酸鉄のリチウムイオン電池(BYDが開発・内製しているブレードバッテリー)が採用された。23年4月には第2弾となるSUV型EVを発表しており、今後トヨタ・BYDの協業は加速していくとみられている。
加えて、BEVで出遅れたといわれるトヨタがこの5月に「BEVファクトリー」を新設したが、このBEVファクトリープレジデントに登用されたのが、BYDとの合弁会社のCTO(最高技術責任者)としてBEV協業開発に携わった経験を買われた加藤武郎氏だ。こうした接近から、トヨタがいかにBYDのBEV技術力に敬意を持っているか、またBEVでの遅れの巻き返しに向けた力の入れようが分かるというものだ。
一方、BYDは、すでに中国市場においては新エネルギー車のBEVとPHEVの合計販売でトップシェアを確保しており、現在は世界展開を積極的に進めている。すでにEVバスから先行してグローバル展開を進めている中で、昨年(22年)7月には、BEV乗用車で日本市場への参入を発表した。
BYDは、日本市場開拓に向けてディーラーネットワーク(販売・サービス拠点網)の構築やブランド認知度向上に力を入れるため、新たにBYD Auto Japanを設立し、2025年末までに全国で100店舗以上を展開する計画を打ち出した。これまで47拠点の開業が決定する中で、すでにミドルサイズSUV型BEV「ATTO3(アットスリー)」を発売しており、今夏までに600台以上を販売している。また、6月には中国自動車メーカーとして初めて国土交通省の型式指定認証を取得し、補助金支給の対象となった。