神釜がなぜ、このような不思議な力を備えているのかは誰にもわからない。しかし、その不思議な力は古くから話題になっていたようで、江戸時代に編纂された『塩竈町方留書』には、寛永13(1636)年2月に藩主・伊達政宗が病によって逝去した際にも神釜の水が変色し、その予兆を伝えていたことが記されている。
当時、こうした逸話が広まったことから、神釜の水の色を常にチェックし、変色が確認された際には直ちに藩に報告することが義務付けられていたというから、ますます神秘的である。

松尾芭蕉は神釜を前に
一句詠んだのか
元禄2(1689)年には、あの松尾芭蕉もこの神釜を拝観するために御釡神社を訪れた記録が残されている。果たして彼が神釜を前に何を感じ取ったのか、関連する俳句がないか探してみたが、残念ながらそれらしいものは見つからなかった。
なお、「四口の神釜」は普段、鍵のかかった社の中に安置されている。非常に残念なことに撮影は禁じられているため、ここではその御姿を紹介することができない。
しかし、拝観料を納めれば誰でも見学できるので、ぜひ杜の都を訪ねるついでにでも立ち寄ってみてほしい。その神秘性に間近で触れながらの参拝は、いかにもご利益がありそうではないか。
筆者が訪れた際には、「四口の神釜」は濁ることなく平
果たして神釜は、どのような色で皆さんを迎えてくれるだろうか。そのドキドキ感すらも、旅の良いスパイスになるはずだ。