ゴール設定で重視すべき
3つのポイント

「1on1のゴール設定がなかなかうまくいきません」。私たちが運営しているキャリアメンターのスクールでも、駆け出しのメンターの中には、こう悩む方がいらっしゃいます。

 まず大切なのは、「大きなゴールを最初に握る」ということです。何のために1on1を必要としているのか。個人として、チームとして、組織として、なぜ必要なのか。ここをお互いに理解して、ゴールを設定しておくことを最優先に考えましょう。

 たとえば、「3年後にリーダーになるためのリーダーシップ形成」というテーマで、1on1を行うとします。このときの大きなゴールは、「3年後にリーダーになるために必要な能力、資質を磨く」ことです。

 ただし、この大きなゴールをもとに相手と方向性を決めるときは、「ワーク(仕事・タスク)」「ライフ(ライフイベント・他者との関係性・役割など)」「セルフ(自分一人の時間・個としてありたい姿)」の3つが重なる表現に落とし込みましょう。

 キャリアとは、プライベートも含めたその人の生き方そのものです。

 ですからゴールは、ただ業務・役職だけにフォーカスするのではなく、相手が大事にしているものと重なるように設定し直しましょう。

 たとえば、「3年後に昇進する」というゴールと、「3年後、自分も部下も、ワークライフバランスを充実させていけるような、生産性が高く、メリハリのあるチームを作れるリーダーになる」というゴールでは、対話の方向性に大きな違いが生まれます。

 ですから大きなゴールは、相手のモチベーションが高まるように、「ワーク」「ライフ」「セルフ」を大切にし、それらの3つが重なる核となる部分に設定しましょう。

 ちなみに、大きなゴールは、相手の状況や成長に伴って変化する可能性があります。その都度確認し、必要があれば柔軟に話し合いましょう。

 さて、部下(後輩)のモチベーションが上がる大きなゴールを設定し、相手と共有できたら、次は「今日はどのように時間を使いたいですか?」と確認して、1on1各回の小さなゴールを設定しましょう。

 大きなゴールだけではかなり抽象度が高く、かつ壮大であり、具体的な話を深めていくのはなかなか難しいはずです。

 たとえば、「3年後にリーダーになって、自分も部下も、ワークライフバランスを充実させていけるような、生産性が高く、メリハリのあるチームを作れるリーダーになる」という大きなゴールがあるなら、それに紐づいて今回話したいことや、1on1後にどんな状況になっていたいかを話してみましょう。