「英語を話せるようになりたい!」と意気込んで勉強を始めたものの、やる気が続かず、いつの間にかやめてしまっていた……そんな経験はありませんか? 本稿では、多くの英語学習者から絶賛の声を集める話題書『話す力が身につく5分間英単語』の著者であり、英字新聞The Japan Times Alpha編集長を務める高橋敏之さんに「英語学習のモチベーションを保つ秘訣」を教えてもらった。

ハイレベルな目標を掲げる人ほど「英語力が伸びない」残念な理由Photo: Adobe Stock

結局、継続している人ほど英語力が高い

 僕は仕事柄、英語学習に関するセミナーを数多く実施しているのですが、質疑応答のコーナーでは、しばしば参加者の方から

「英語学習へのやる気が続かない。どうしたらいい?」
「挫折せずに学習を継続する方法を知りたい」

 といったモチベーションの維持に関する質問が寄せられます。

 皆さんの中にも同様のお悩みをお持ちの方がいるかもしれませんね。

 基本的に語学とは、やればやっただけ伸びるものの、やめてしまえばそこで終わりです。

 ここから分かる通り、英語学習で最も大事なのは「継続」、最大の敵は「あきらめ」であると言えます。

 そう考えれば、いかにモチベーション維持が重要であるかがお分かりになるでしょう。

 僕は、モチベーションの維持には「意識」「習慣」「目標」の3つを適切にコントロールすることが重要だと考えています。

 今回は「目標」というキーワードに基づいて、英語学習を継続する方法についてお伝えします。

短期の目標設定が鍵

 皆さん、それぞれ英語学習の目標をお持ちのことでしょう。

「英語を自在に操れるようになって、海外事業部門で働きたい」「通訳者として独立したい」などなど。

 もちろん大きな夢を抱くのは大変素晴らしいことですが、最終的なゴールばかり見て走っていては、息切れしてしまいます。

 そこで、短期的な目標を立て、まずはそれに向けて努力を続けてみましょう。

 たとえるなら、ひたすら長距離を走るのではなく、まずは短距離を走りきり、これを繰り返す。これなら継続しやすいのではないでしょうか。

TOEICはモチベーション維持に役立つ

 私がお勧めしたいのは定期的に英語のテストを受けること。これにより、

・自分の英語力が伸びていることを客観的に把握できて、挫折の防止につながる
・誰しも低い点数は取りたくないので、テストが近づけば嫌でも学習する意欲が高まってくる

 などのメリットがあります。

 例えば、TOEICテストであれば、毎月のように公開テストが開催されているし、スコアも5点刻み(※TOEIC L&Rテストの場合)で提示してくれるので、目標設定に使うのにぴったりでしょう。

 1年に1回はTOEICを受験して、スコア100点アップ(もちろん、目標はもう少し低くても構いません)を目指して学習を継続してみてはいかがでしょうか。

「日本人英語山」を経由しよう

 目標の持ち方に関連して、もう1点お伝えします。

 ネイティブや完全なバイリンガルの英語に憧れる気持ちは分かりますが、最初からそうした完璧な英語を目指すと挫折します。

 もちろん、ネイティブの英語から学べることは多いものの、ロールモデルとして第一に目指すべきなのは、「日本人英語の使い手」です。

 皆さんの周りにもいるかもしれないですね。発音はいわゆるジャパニーズ・イングリッシュで、表現も決して洗練されているわけではない。

 それでも、英語で通じるポイントは押さえていて、限られた語彙でネイティブとも意思疎通ができるコミュニケーション能力を持っている。

 例を挙げると、「それに関しては好意的に受け止めている意見ばかりだ」というのをそのまま英語にするのが難しければ、They all like it. のように簡単な英語に言い換えて伝えられるような人です。

 まずは、ここを目指しましょう。

 発音は完璧でなくてもいい。多少文法が間違っていても表現が稚拙でも、言いたいことを伝えられるようになればいい。

 こう考えれば、気が楽にならないですか?

 ネイティブ並みの英語力を身につけるとは、例えるなら「ネイティブ英語山」の頂上に登るということ。

 もちろん、最終的な目標をそこに据えるのは良いことですが、この山は高く、道も険しい。いきなりこれに登ろうとすると挫折します。

 しかし、そのすぐ隣には「日本人英語山」があるのです。これなら比較的簡単に登れるので、まずはこれに登頂する。

 その上で、次の目標として、「日本人英語山」の山頂から隣の「ネイティブ英語山」の登頂を目指すというルートを取る。

 このイメージで学習を進めるのがお勧めです(実は「日本人英語山」に登頂できた時点で、英語力という点では問題ないレベルになっていたりします)。

 このように楽なルートで登っていくというのも、挫折防止には大切なことですよ。