大人数の来客を迎える
専用の広間がないまま

 結局、ご退位に伴って、まず、高輪皇族邸を改修し、上皇ご夫妻の荷物の整理などが終わったらそこに上皇ご夫妻が移られ、御所の改修を始め、完成したら両陛下が引っ越され、東宮御所の改修を始め、上皇陛下がそこに入られた。

 一方、秋篠宮邸は東宮御所に準じた新たな皇嗣としての御所を建設するのでなく秋篠宮邸を大改修することにして、その間は、仮寓御所を安価で建設して引っ越しいただく。また、隣接の現赤坂東邸は、皇族の共有スペースとして園遊会と冠婚葬祭のようなイベントスペースとして使っていたものを、その機能を高輪皇族邸に移し、秋篠宮皇嗣殿下の公的活動のスペースとして一体化すると発表された。

 ところが、6月30日に発表された文書では、赤坂東邸を従来通り共用邸として残し、園遊会などのときに両陛下や他の皇族が引き続き使えるようにした。

 つまり、秋篠宮邸には、大人数の来客用の応接間はないのであって、必要なら赤坂東邸を使えということである。赤坂御用地に共用スペースを残す必要があるかどうかなどは、最初から分かっていたのでおかしな話だ。

 また、検討過程で秋篠宮家では、眞子さんと佳子さまの部屋は、いずれ結婚して出ていくのだから無駄になるとして、これまでの仮寓所の部屋のままでいいとなった。もちろん、20歳代の成年女性として、親と少し距離を取りたいという気持ちもあったかもしれないが、常識的にいって節約の発想だ。

 娘二人が「母屋を修繕した後に自分の部屋はいらないから」として、家業の事務所や倉庫に使うことになった臨時のやや簡易な建築の中の部屋に結婚までそのままいるというのを、ぜいたくとかわがままという人はいない。

 もちろん、やんごとなき人が節約したつもりでも、かえってコストが高くなることは多い。できるだけ旧秩父宮邸のインテリアなどを使えと殿下はこだわられたが、この種の節約はしばしば、かえって費用がかさむことだってあるだろうし、光熱費や警備費用も同様だが、もしそうなら、事務方が説明して納得してもらうべき話だ。

 妃殿下が大理石とか金の装飾を希望されたという噂もあるが、ウィーンでの生活経験がある妃殿下が、洋式のインテリアについて若干の希望を出されたとしても予算が大幅にオーバーしなければ間違っているとはいえない。