今、「学校に行かない子どもたち」が、とても増えています。小・中学校の長期欠席者は41万人(うち不登校が24万5000人・令和3年度)にのぼり、過去最高を更新しています。本連載では、20年にわたり、学校の外から教育支援を続け、コロナ禍以降はメタバースを活用した不登校支援も注目される認定NPO法人「カタリバ」の代表理事、今村久美氏の初著書「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から、不登校を理解し、子どもたちに伴走するためのヒントを、ピックアップしてご紹介していきます。「不登校」という事象について考えるときに、本人へのケアという個人に着目した視点と、教育環境との相性や教育制度など、個人を苦しめている社会の側に視点をおいた考え方など、幾つかの視点があります。ここでは個人に着目した考え方の一つを本書から紹介します。

【子どもの不登校】不登校で定期テストを受けないと卒業できないの?Photo: Adobe Stock

条件を満たしていれば、学校長の判断で”出席扱い”になる

不登校の中学生を抱える親御さんにとって、中間テストや期末テストの時期は気が重いかもしれません。
 実際のところ、日本の義務教育は、出席せず、定期テストを受けていなくても、在籍さえしていれば原則として卒業できます。

 ただ、中学・高校受験をお考えの場合は、その際の内申点が気になりますよね。テストを受けなければ成績をつけられないので、そういう意味では志望校の合格基準を満たせないなど、選択肢が狭まってしまうことも多いのは事実です。

「だから、定期テストは受けるべき」と言うのは簡単ですが、日頃通っていない学校に出向き、場合によっては会いたくない先生や友達と顔を合わせて試験を受けるというのは、子どもにとってかなり高いハードルであることは想像できます。
 テストを受けに行くことが本書で説明している「パニックゾーン」ではなく、「ストレッチゾーン」の範囲内であるように見受けられたら、親が少し背中を押してあげるのもよいでしょう。
 でも、難しいようでしたら、無理は禁物です。担任の先生と相談して、保健室など教室以外の場所で受けられるような配慮をお願いするのもひとつの選択肢です。

外部の学習機関での取り組みを成績評価に

 また、現状ではまだ事例は少ないのですが、外部の学習機関で取り組んだことを証明する学習レポートを提出することで、頑張りを認め、成績評価をつけてくれるケースもあります。

 たとえば、本書でご紹介しているオンライン上のフリースクール「クラスジャパン小中学園」では、こうした事例を増やすべく尽力しています。学校側から「前例がない」などと断られた場合は、学校と保護者の間に入って、他校での事例などを用いて直接説明することもあるようです。

 *本記事は、「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から抜粋・編集したものです。