指笛はどれくらい実用的か
ホイッスルや肉声と比較

 警視庁は2020年3月にXで、指笛の吹き方を解説した画像とともに、「災害時、閉じ込められて気づかれない時、指笛を吹けば誰かしら気づいてくれるかもしれません。山で道に迷った時やスポーツ観戦時など使い方はあなた次第です」というメッセージを投稿している。

 指笛が必要になるシーンはライブ会場やスポーツ観戦などのパーティー的な場所しか想定していなかったので、防災に役立つとは思いもしなかった(会場によっては指笛が禁止されているケースもあるので注意が必要である)。しかし指笛はかなり大きい音が出るので、考えてみれば防災との相性も非常によろしい。聞けばライフジャケットに「笛付き」という商品カテゴリーがあるくらいだから、指笛だって救難時に有用なはずである。

 ホイッスル3種、声、指笛が山でどれくらい聞こえやすいかのテスト結果を紹介する、興味深い記事『ホイッスル山でどれだけ聞こえるかテスト!』(PEAKS編集部)を見つけた。

 これによると、たとえば「10m離れた場所」での計測は、ホイッスル3種が約81~90db、声が69.3db、指笛が83.6dbとなったそうである。また、別の条件で計測した際に指笛が最も大きいデシベル数を記録することもある。指笛を吹く人のスキルや音の向きなどで数値は変わるようだが、緊急時には指笛の利用が十分実用的であることはわかった。

 なお、同ページによれば、ホイッスルでSOSを知らせる際は「1分間に6回吹き、1分休む」を1セットにして繰り返すそうである。だいぶ悠長なリズムのように思えるが、救助を待っている状況においては体力を温存しながら長期的な視野をもって過ごしていかなければならないので、おそらくそれくらいのペースが妥当なのであろう。